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情報更新日 11/08/17 (水) 20:12

ご挨拶   (東京医大新聞 平成13年4月15日第373号掲載文)

東京医科大学同窓会の皆様におかれましては、益々御清祥のこととお慶び申し上げます。このたび、内野滋雄前教授の後任として解剖学第一講座を担当させていただくことになりました伊藤正裕と申します。昨年、開講20周年を迎えたばかりの四国の医大より、首都に立つ伝統100年にならんとしている本学に迎えていただきましたことに、心より感謝申し上げますとともに、重責をひしひしと感じております。讃岐の田園風景に囲まれたキャンパスに長年慣れ親しんできた私にとって、大都会コンクリートジャングルへの適応というものがひとつの課題ではありますが、この地で、信頼され貢献できる教室作りに専心努力し、教室員および大学関係者各位の皆々様と協力して、伝統ある教室をさらに発展させてまいりたいと思います。
 さて、皆様ご承知のとおり、少子化時代、経済低迷時代、(医師過剰時代?)を迎え、生き残りをかけての全国の医学部大戦国時代が始まりつつあります。そこで求められるのが大学人の最大の責務である質の高い「教育」であります。我々解剖学第一講座の教育担当領域は肉眼解剖学ですが、ここ何年か前より、他大学の何校かにおいて、マクロとミクロの解剖学講座をひとつの教室にしたところが出てまいりました。大講座制になってもマクロとミクロのバランスがとれた形態学教育ができれば問題はないのですが、もし講座主任が人材不足から多大な労力と時間を要する人体解剖学実習に消極的になり、CD-ROMとプラスチック標本でご遺体の解剖の代用を行おうとすれば、その時点で解剖学教育の質は確実に低下するものと思われます。解剖体実習を通してでしか、「人体構造の正確な観察眼の養成」はありえません。今後、「A大学ではコンピュータ画像と模型で人体構造を学習するのが、B大学では献体団体の支援のもとに、本物の人体(ご遺体)を用いて学ぶことができる」という二極化が進む可能性が出てくると思われます。その時、医学教育レベルの高い大学はどちらであるかは明らかであります。
 本学は、肉眼解剖学教育担当講座をひとつの独立した部署としてこれからも存続させることを、このたび全国医学部に表明いたしました。それを受けて、我々教室員は大学の期待を背負い、責任を持って肉眼解剖学教育に取り組む所存でございますので、今後とも同窓会および関係者各位の方々のご協力、ご支援を賜りますようお願い申しあげ、就任のご挨拶とさせていただきます。

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