追加資料

  一部セフェム系薬剤における正誤差について

 緊急検査のT-BIL(総ビリルビン)値が塩酸セフォチアム(CTM)投与中の患者様の場合、
みかけ上高値になることが予想されます。原因は抗菌薬自体が平成15年9月16>日より導入
したドライ式の測定試薬と反応するためです。


1.健常人におけるCTM投与試験の影響

 下記のグラフは健常人4名にCTM 1g静注後に経時的にT-BIL値を測定した結果です。
CTM投与後2時間までは正誤差を生じますのでご注意ください。また腎機能低下により血中
からの抗菌薬の消失遅延の結果、更に長時間の影響が見られることがあります。


 T-BIL をD-BIL(直接ビリルビン)と同時に測定し、両者に乖離がみられた場合は、
溶血性疾患がなければ、CTMなどのセフェム系薬剤の影響が考えられます。


2.代表的なセフェム系抗生物質の添加実験

 代表的なセフェム系薬物をT-BIL値0.1mg/dlの血清に薬剤を300μg/mlになるよう添加
し測定した結果を以下に示します。
薬剤一般名 略称 一般商品名 T-BIL値(mg/dl)
セフォチアム CTM パンスポリン
ハロスポア
7.3
セフメノキシム CMX ベストコール 0.4
セファマンドール CMD ケフドール 0.3
セフォタキシム CTX セフォタックス
クラフォラン
0.3
セファゾリン CEZ セファメジンα 0.1
セフメタゾール CMZ セフメタゾン 0.1
セフォキシン CFX マーキシン 0.1
セフォテタン CTT ヤマテタン 0.1
セフブペラゾン CBPZ トミポラン
ケイペラゾン
0.1
セフスロジン CFS タケスリン 0.1
セフチゾキシム CZX エポセリン 0.1
セフォペラゾン CPZ セフォペラジン
セフォビッド
0.1
ラタモキセフ LMOX シオマリン 0.1
セフピラミド CPM サンセファール
セパトレン
0.1
セフロキシム CXM オラセフ 0.1

CTMでは0.1mg/dlが7.3mg/dlと大きな正誤差を示しました。それ以外にも上の表の結果
よりCMX,CMD,CTXでもわずかに正誤差となることがわかりました。