カリキュラム紹介

昨今、患者や医療者が最良の環境を求めて、世界中を移動する時代となりました。それに伴い、異なる教育を受けた医療者間の教育の質を保証するために、国際的な認証制度の必要性が高まりました。今や、国際医学教育連盟が定める、グローバルスタンダード(→医学教育分野別評価基準日本版)に則ってカリキュラムを編成し、医学教育認証制度に叶った医科大学の卒業生でなければ、国際社会からは認められない時代となったのです。
本学医学部医学科では、この時代の要請に呼応し、平成26年度の新入生からカリキュラムを一新いたしました。アウトカム基盤型教育の導入、早期臨床体験実習の拡充、プロフェッショナリズム、医療倫理、情報科学、緩和医療、漢方および行動科学・患者学など新しい領域の経年的な教育などです。臨床実習は、診療参加型とし期間を74週に延長します。
本学の医学教育を、国内外で通用する質の高い内容とすることにより、医科大学としての社会的責任を果たします。

新カリキュラム(平成26年度入学者から)

2014年度入学生から新カリキュラムを導入します。
詳しい情報はパンフレットをご覧下さい。 → 新カリキュラムのご紹介2015年度版(PDF)

新カリキュラム1-6年図

人文・社会・自然科学系科目

【医療心理学・死生学】

心理学では、将来の医師として必要な、患者・家族・医療従事者の心理と行動について理解します。また、他人を理解しより良い人間関係を持つためにコミュニケーションの理論と技法を習得します。前期では、実際の臨床場面に即した事柄について講義を行い、後期では、ストレスの概念や生活習慣病から健康と疾病に関して心理学の果たす役割を知ります。

【哲学】

本講義の前半では、なつかしさや死に対する恐怖のような「情緒」のあり方や、社会正義や幸福のような諸「価値」のあり方について、小グループで討論しながら、それらの「本質」(核心にあるもの)をつかみだすことを行う。人間理解の進展と、事柄の本質を問う方法(現象学的本質観取)の体得が目的である。後半では、医療の原理的理解とそれにもとづく医療の新しいかたちを展望する。

【社会科学】

社会科学では、私たちの身の回りに生起する諸問題を複合的な社会現象と見なし、社会学・人類学・歴史学・経済学・政治学などの社会科学の諸領域で蓄積された理論や知見を援用しながら理解していくことを目指します。授業は、具体的な事象を題材として学生自身が多角的に調査し検討する方式で進めます。

【法学】

医療者はその実務において、行動基準として常に法に準拠することが必要になります。医療者には法の理解が必須なのです。授業では法の基本原則と種々の臨床現場等で必要な特別法(医師法・母体保護法・臓器移植法等)に親しんでいきます。とは言え、半年という時間でできることは限られます。そこで、東医精神である「自主自学」によって、医療者として生涯付き合える楽しいパートナーと法を捉えられるよう、楽しい法学と目指します。

【医学史】

現代の医学医療・公衆衛生政策、さらにはバイオテクノロジー開発に伴う生命倫理の問題系を考察する際に不可欠な、近現代医学史の基礎的視座を習得します。医学研究や医師-患者関係、さらには病いの経験が社会的変容を遂げてきた過程を能動的学習を通して認識することによって、医学の現状分析のためのより解像度の高い眼差しを獲得します。

【哲学テクスト入門】

哲学の重要なテクストを読みとる力と、哲学の歴史に対する理解とを身につけることを目的とする。具体的には、プラトン、デカルト、ホッブズ、ルソーなどから重要な箇所を取り出して精読する。参加者は毎回レジュメ(要約)を作成し、話し合いながら内容の理解を深めていく。最大10人までの少人数講義としている。

【医療人類学】

医療人類学では、グローバル化や価値の細分化、さらには臨床現場での協働化や医療者-患者関係の複雑化という事態を踏まえ、健康に関する様々な事象を複数の規範や価値のもつれ合いのなかで捉え、より多元的で相対的な視点から理解する能力を養います。授業は、6~8人程度の小グループで具体的な課題に取り組み、その理解や解決を目指す方式で行います。

【原典講読Ⅰ(英文学)】

医療にまつわる倫理問題を扱った英語文献を輪読することを通じて、英語の読解力を高めるとともに医療倫理が、本来普遍的に問い続けねばならない「生命」のあり方について思索を深めることを目標とする。

【原典講読Ⅰ(医療倫理)】

心理学では、将来の医師として必要な、患者・家族・医療従事者の心理と行動について理解します。また、他人を理解しより良い人間関係を持つためにコミュニケーションの理論と技法を習得します。前期では、実際の臨床場面に即した事柄について講義を行い、後期では、ストレスの概念や生活習慣病から健康と疾病に関して心理学の果たす役割を知ります。

【先進医療のための科学】

先進医療のための科学では、MRIや放射線治療を理解する上で欠かすことのできない量子力学の基本を学びます。その後に放射線・X線の発生原理、その効果について学習します。さらに、磁気共鳴の原理を学び、基礎・臨床の見地からの応用例についても学習します。

【人体の物理学】

人体の物理学では、基礎的な物理の知識を復習してから、人体に即した物理の応用を学びます。力・熱といった物理的なテーマが、身体バランス・エネルギー代謝といった医学的なテーマとどのように結びつけられるか、人体と外界との関わりの中でどのように生かされていくか、豊富な実例を挙げながら学びます。

【科学的方法論】

科学的方法論では、まず、確率の基礎を学び、次に、確率分布について学びます。さらに、実社会において現れる分布のモデルである基本的な分布が統計学でどのように利用されているのかを見ることにより、確率論や統計学における考え方を理解することを目標とします。

自然科学系科目

【数学】

数学では、主として2変数関数の微積分を学びます。微積分の基礎技術を習得し、思考力を鍛え、具体的な問題に自らの数学の知識を活用する能力を養うことを目標とします。また、講義を聞くだけでは数学を理解することは困難なので演習を重視します。

【医系の物理学】

医系の物理学では、講義と実習とを合わせて、医学における準備教育モデル・コア・カリキュラムに準拠して物理学全般について学びます。講義では、力学・電磁気・波動等の学習を行い、実習では波動・熱・電磁気・現代物理等をテーマとする学習を行います。

【医系の化学】

医系の化学では、生命活動を支える元素の役割、生体有機分子の三次元構造および、それらの物性と反応を学びます。これらは無数の化学反応が組み合わさって起こる生命現象の理解に繋がります。そして、高等学校の化学の基本知識から有機電子論の考え方が理解できることを実感させ、覚える学修から考えて納得する学修への転換を図ります。

【生物学】

生物学では、医学を学ぶための前提として身につけておくべき生命現象について細胞・分子レベルで理解します。講義では、細胞の構造と機能、細胞周期、DNAとタンパク質、遺伝、内部環境の維持について生物の共通性と多様性の観点から学びます。実習では、細胞や細胞分裂の観察、マウスとカエルの比較解剖などを行います。

【自然科学基礎(物理学)】

自然科学基礎(物理学)では、学習に必要な数学および力学と電磁気の基礎を学びます。また、自然認識の方法、現象を定量的に表わす方法を習得し、力学や電磁気の表現法を理解します。授業は主に演習とその解説を行い、力・ベクトル・位置・運動・電荷・電場・磁場等の概念を理解します。

【自然科学基礎(化学)】

自然科学基礎(化学)では、高校で化学を十分学習しなかった学生が、化学的な見方・考え方を身につけ、大学での化学を理解できるよう化学の基礎概念・理論的背景を習得することを目的としています。物質の構成と原子の構造・物質量の概念・化学変化にともなう物質量の変化の記述・有機化合物の特徴・物質の状態などを演習を主体として学習します。

【自然科学基礎(生物学)】

自然科学基礎(生物学)は、高校で「生物」を履修していないか、十分に学習する機会がなかった学生を対象として開講します。高校から大学の学びへの接続をスムーズに結ぶことを目的として、予習を前提とした少人数クラスの講義により、生物学の学習内容と連動した学びの機会を提供します。

【生命現象の科学Ⅰ】

生命現象の科学Iでは、医系の化学で学んだ基礎を発展させ、まず、有機化合物の反応性を予測するための基本を学びます。さらに、分子のマクロな性質として化学エネルギー、化学平衡などを学修します。また、生命の維持を司る生体分子の構造および性質について、学びを深めます。

【生命現象の科学Ⅱ】

生命現象の科学IIでは、地球(生物圏)に生存する多様な生命の歴史とその中でのヒトの位置付けについて理解します。講義では、生物の進化、動物の発生、動物の行動、生物圏と生態系について幅広く概説し、生物としてのヒトを理解します。

外国語科目

【独語】

ドイツ語の初歩を一年間かけて学びます。初級文法の習得を中心に、ドイツ語圏の文化にも触れていきます。ドイツ語という言語を通じて、英語とも日本語とも異なる発想や論理を知り、豊かな思考力を養うことをめざします。

【仏語】

フランス語では、読み、書き、話すための基礎的事項を理解し、フランス語の総合的運用能力を向上させます。前期は、発音、文法、動詞活用を中心に講義を行い、後期は、文章を音読、解釈し基礎知識を習得すると共に中級フランス語のために必要な事項を説明します。

【英語Ⅰ】

医師して必要な幅広い教養と総合的な判断力を培うための一助となるよう、英語の学習を通じて日本のものとは異なる「文化」の理解を形成することを目標とします。「英語(総合)」(週1コマ通年)と「英語(表現法)」(週1コマ前期)の2つの授業から構成されています。

【医学英語Ⅰ】

 医学英語Ⅰでは、現在の医療の基本的ニーズのひとつは英語での情報を吸収し、それを伝達すること。特にインターネットと電子出版で医師が英語で書かれたものを把握する必要が増えてきたことから、医学英語を自由自在に読み書きできるためのファーストステップとして基本的な医学用語をマスターします。

医学関連科目

【症候学入門】

2症例について小グループに分かれ症例ベース(PBL)形式で学修する。グループによるディスカッション、発表に加え医療面接や臨床推論に関するシミュレーション実習や模擬患者さんとのOSCEなど医師として必要な実践的な様々な能力が要求される。グループで協力して問題解決に臨み最高のパフォーマンスを発揮してほしい。

【課題研究】

本授業では、少人数グループで討論しながら、短い課題文のなかから問題を発見し解決していく学生主体の学習(PBL: Problem Based Learning)を行っている。2016年の課題文は、運動、高齢化、錯覚・錯誤、巨大災害の4つのテーマから作成されたが、理科だけでなく人文社会的な内容も含まれている。医師として必要な、能動的主体的に学習していく姿勢とそのための方法、またチームとして協力しあう仕方を学ぶことが主な目標である。

横断的領域科目

【生命倫理学】

生命倫理学では、生殖医療や終末期医療等の現代医療や医学研究における倫理的問題をとおして倫理学を学びます。また、この学習が数年後の臨床実習生として、さらにその後の医師として医療と関わっていくうえで重要であることを理解します。講義では随時、具体的事例を提示し学生が自ら考え議論する能動的授業も行います。

【情報科学Ⅰ】

授業の前半では、まず、東京医科大学の IT 環境が利用できるための情報を理解し、無線ネットワーク、メールアカウント、eラーニングシステム等の設定を行い、それぞれの使用法を学ぶ。次に、著作権、個人情報保護、セキュリティ、マナー等、情報を利用あるいは発信する際に注意すべき事柄について学ぶ。授業の後半では、プレゼンテーションソフトの使い方を学び、課題研究のプレゼンテーション資料を作成する。また、研究デザインを立案し、必要なデータを収集し、統計学的に解析して仮説を検討する一連のプロセスを経験する。

基礎医学系科目

【解剖学(1)(骨学実習)】

2学年次の解剖体実習で3次元的に人体構造を学ぶ準備として、8回の実習(臨床医による講義を含む)を通して解剖学の基本となる骨学を学びます。実習では、人体が一般的(普遍的)な法則に則って構成されながらも、ひとりひとりが教科書にないような多様性(個性)を有していることを じっくりと観察してもらいます。その観察眼を育てることが、将来、患者の状態を正確に把握し、ひとりひとりに合った医療を行う力へとつながっていくという 理念のもとに教育を行います。

【解剖学(2)講義】

人体の構造を顕微鏡レベルで学ぶ「組織学」の講義(午前)と、人体組織標本を顕微鏡で観察する実習(午後)を行います。基礎医学では、人体の構造・機能・病理を理解するために、肉眼解剖学、生理学、病理学を学びますが、これらの分野の橋渡しをするのが組織学です。実習では、顕微鏡下に未知の美しい画像が観察できます。自らの手で人体組織のスケッチや模式図を描くことによって、形と機能を結びつけるのがこの授業の目的です。

【生理学】

生理学では、生体の多様な調節・制御機構を学びます。正常な生体の機能を学ぶことは、将来臨床医学で学ぶ様々な病態を理解する基礎として不可欠です。講義では、膨大な情報の中から必要な基本的知識を選択して提供します。実習は、講義で得た知識を実際に手を動かして体感し、筋道をたてて考えることを目的とします。

【生化学(分子生物学概論)】

体の「設計図」ともいえる遺伝子の構造と機能や,細胞分裂に伴う「DNA複製」,遺伝子発現における「転写」「翻訳」のプロセスを系統的に学習し,生命現象を分子レベルで理解し考察する思考の定着を目指します。また,これら学習内容が今後の臨床医学教科にどのように反映されるかを「がん」「代謝・変性疾患」「遺伝性疾患」等の具体的疾患例を示しながら「医学部のための分子生物学」の講義を行います。

臨床実習

【早期臨床体験実習Ⅰ】

入学直後から、医療面接、ファーストエイド、医師とのシャドーイング、患者とのディスカッション、外来体験、患者・家族のエスコートなど多彩な病院実習やシミュレーションを通じて学ぶ。1週間の看護実習では、一人の看護師と行動を共にする。東京薬科大学薬学部や本学看護科の学生と、シミュレーション、ディベート、症例検討を通じて、多職種連携の重要さを知る。