ミニコミ誌「みどりの丘」
2009年2月1日発行 今月のおはなし
未破裂脳動脈瘤とクモ膜下出血(破裂脳動脈瘤)
“クモ膜下出血”という病気を皆さん一度は耳にしたことがあると思います。突然死の原因となる大変恐ろしい病気で、破裂すると約4割の方が亡くなってしまい、毎年約1万5千人にもなります。クモ膜下出血の原因のほとんどは脳動脈瘤であり、これが誘因なく突然破裂することでクモ膜下腔(つまり脳の表面)に突然大量の血液が充満する病気です。今回はこの病気についてのお話です。
- 未破裂脳動脈瘤の頻度は?
- 未破裂脳動脈瘤は最近では脳ドックや病院で頭の精査時のMRI、MRAにて見つかることがほとんどです。実はこの頻度は少なくはなく2~6%の人に見つかります。しかし、見つかったからといって悲観的になる必要はありません。破裂しなければ動脈の“こぶ”でしかありません。でも放置してよい訳ではなく、この破裂率は毎年約1%ありますのでどのように治療するか脳神経外科の先生とよく相談しなければなりません。
- 症状は?
- 原則的にありません。ですから突然クモ膜下出血になる訳です。しかしながら動脈瘤の場所により「片目が急に開かなくなりまぶしく感じるようになった」という症状で見つかる方がいます。この場合は動脈瘤が急速に大きくなっている症状なので早急に治療する必要があります。
- 診断は?
- 動脈瘤は小さなものがほとんどなのでCTやMRIでは見つからないことがほとんどです。昔は血管撮影をしなければわかりませんでしたが、今はMRAや3D-CTAといった10分程度の検査で診断することができます。
- 治療は?
- 破裂するとクモ膜下出血となりますので、年齢、動脈瘤の大きさや形、場所を考えて患者さんと相談して治療法を決定します。選択肢の一つは経過観察でありますが若年者、大きな動脈瘤、家族歴、これが一番重要なのですが治療が困難でないもののときは手術を考慮します。手術には二つの方法があります。一つは脳動脈瘤頚部クリッピング術であり、開頭して行います。この方法の利点は長期成績がすぐれていること、脳神経外科医が動脈瘤を顕微鏡で直接観察して動脈瘤の処置ができることにあります。もう一つは血管内手術であり、カテーテルにて行い動脈瘤の中にプラチナのコイルを充満させて内側から塞栓させるものです。いずれの方法でも手術の翌日から歩行可能で朝食もとってもらいます。どちらがすぐれているという訳ではなく、動脈瘤の形によりどちらのほうがより良いかを(両者いずれにも得手不得手がありますので)一例一例検討して治療法を決定します。未破裂脳動脈瘤の破裂頻度は年間約1%あり、手術合併症は5%程度あるので患者さんとよく相談して納得のいく方法で治療方針を決定しています。





