ミニコミ誌「みどりの丘」
2009年7月1日発行 今月のおはなし
白血病から認知症まで!
今月は「老年病科」のご紹介と、認知症に関してお話をしたいと思います。
- 老年病科とはどんな科ですか?
- 老年病科という科は皆さんにとって馴染みの薄い科と思いますが、現在全国80の大学医学部のうちの1/4にあたる20大学に講座があり、臨床、研究面で多くの活動をしています。老年病科は、「複数の疾患をかかえるお年寄りに対して、臓器別な治療ではなく、全人的な治療を行う」ことを特徴としています。
- 具体例をあげましょう。高血圧、糖尿病、原因不明の貧血を持つお年寄りが脳梗塞になったとしましょう。どうやら認知症もあったようです。この患者さんが臓器別で受診する場合、脳神経外科(または神経内科)、循環器内科、内分泌内科、血液内科の4科にかかることになり、時間的、体力的に大変です。また、各科から薬が処方されると、同種薬の重複処方の恐れもあります。このような複数疾患を一人で抱えるお年寄りを、一つの科でまとめて治療しようとするのが老年病科の特徴です。
- 一見、高齢者の総合診療内科かと思われるかもしれませんが、疾患が「白血病から認知症まで」と多岐に及ぶために、高度な専門的な知識も必要とされております。よって我々は、多くの経験と訓練を積んだ老年病専門医が中心となって診療を行っております。なお、老人の定義は一般的には65歳以上でありますが、当科では、合併症が多く治療がより困難となる75歳以上の後期高齢者を対象に診療しております。
- 症状は?
- 以前は「痴呆症」といわれ、治療法がなかったために正確な診断もされずに放置されてきた病気でした。しかし近年、治療薬の登場と共に名称も「認知症」に変わり、まさに世間に認知された疾患となりました。認知症は、原因不明に脳細胞が死んでいくアルツハイマー型と、脳梗塞や脳出血が原因で起こる脳血管型の2つに大きく分かれます。近年、わが国でもアルツハイマー型が増加しつつあり、問題行動が多く、介護者の負担が大きいことから社会問題になっています。
- アルツハイマー型認知症の主たる症状は、記憶障害(物忘れ)であり、早期から時間や場所の感覚が障害されるのが特徴です。また、物盗られ妄想や、幻覚、徘徊、失禁、昼夜逆転、介護者への暴行等の周辺症状が介護者を悩ませる原因となっています。アルツハイマー型認知症は、病気そのものが完全に解明できていないことから、現時点では根本的治療法はありません。しかし、早期に発見して治療を始めることで、症状の進行を遅らせることが可能となりました。また、周辺症状(問題行動)に有効な治療薬もわかってきました。
- 当科では10年前から一般外来の枠内で「物忘れ」患者さんの診療を行っており、多くの認知症の患者さんを診断、治療してまいりました。また、認知症ネットワーク「八王子市医師会認知症どんとこいドクター」のなかで、診断中核病院としても参画しております。認知症にお悩みのご家族の方、どうぞホームページをご覧になってください。
- なお、当科ではアルツハイマー病の新薬の世界同時治験にも参加しております。新薬の治験に関してご興味がある方はお気軽に当科にご相談下さい。




