臨床呼吸機能講習会は今回で43回を迎えます。呼吸器疾患が肺結核主体であった時代から今日の多様化した疾病構造を持つ時代へと変わってきた、その転換期から今日まで続いてきたわけです。この時代は、とりもなおさず肺という臓器が改めて呼吸機能を営む臓器であることが再認識され、まず呼吸機能の細部に渡る解明とそれが生体に及ぼす影響の解析が試みられました。呼吸機能講習会もそのような研究の到達した地平を学習し、臨床応用しようという目的で続けられてきたわけです。最初は主として医師、研究者を中心に肺疾患による病態生理異常の検出法とその意義についての学習が行われ、次いで臨床検査としての呼吸機能検査の応用がこの講習会の主な目的でした。しかし、近年本講習会にもっと多くの医療関係者が参加するようになって参りました。「呼吸」は生物の生命維持および生体活動にとって最も重要な機能であります。そのような観点より、医療に携わる者としては、「痰を出しやすくする」「呼吸を楽にする」「身体活動を上げる」等々の常に遭遇する問題を適切に解決していくためには肺の機能を理解しておく必要があるわけです。現在そのような意味で本講習会は本当に臨床的な地平に立っており、43年前この会を始められた先輩方の努力が実ったのだと思います。
 Bコースはその中でも、最もオーソドックスに肺の機能を論理的に勉強し、それを臨床に活かそうとするコースです。Bコースで学んだ肺の機能異常を理解し、常に「体の中で何が起こっているのか」ということを考えることにより、日常の診断や治療へ役立つことはもちろんですが、臨床の中からさらに問題点を見いだし、探求することによって明日の医療へとつながっていくものだと考えています。

Bコース主任 相沢久道

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