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2012/11/28 診療報酬不正請求の再発防止策の実施状況について

  • お知らせ

学校法人東京医科大学

 東京医科大学茨城医療センターが、平成20年から平成21年にかけて、不正に診療報酬を請求したことにより、医療保険制度や医療機関に対する社会の信頼を大きく損ねることとなりました。ここに深く反省するとともに、御迷惑をおかけすることとなりました患者さま、保険者さま、厚生労働省、茨城県その他関係機関の皆さまに深くお詫び申し上げます。このたび、平成24年12月1日からの保険医療機関の指定取消処分を受けましたが、役員並びに教職員一同、行政処分を真摯に受け止め、茨城県にも御指導をいただきながら、極力患者さまの御迷惑にならないように対応したいと存じます。
1 事案の概要

(1) 不正請求の内容及び関係者の処分

① 施設基準の不正な届出
   平成20年度に当時の茨城医療センター長が、入院時医学管理加算、医師事務作業補助体制加算及び画像診断管理加算
  2の施設基準の要件を満たさないにもかかわらず、職員に不正な届出を強要して関東信越厚生局茨城事務所に届出を行
  い、不正に診療報酬を受領しました。
   平成21年3月及び5月に不適正分の辞退届を出し、7月には過大請求分の返還の申し出を行いました。
   以降、関東信越厚生局により平成21年9月から平成23年10月まで延べ14回にわたり監査が実施され、これらのほか3
  項目が不正請求と判明しました。

② 法人による調査
   平成21年6月1日に茨城医療センターDPC検証委員会を設置し、調査した結果、施設基準の要件を満たさないことなど
  が判明し、その後、同年7月7日から内部監査室が調査を開始したところ、当時の茨城医療センター長が不正な届出を主
  導したことなどが明らかになりました。

③ 関係者の処分
  ○ 平成21年10月13日
    理事長以下5名が減給50パーセント3カ月間、理事10名が減給10パーセント3カ月間の処分
  ○ 平成21年9月2日
    当時の茨城医療センター長が懲戒解雇
  ○ 平成21年9月3日
    職員6名(うち副センター長3名)が停職3カ月を含む処分

④ 理事の辞職
  ○ 平成22年4月30日
    常務理事1名、理事2名
  ○ 平成22年6月22日
    理事長

2 事案の検証

 不正は、一義的には独善的な茨城医療センター長が主導したものですが、茨城医療センター内での牽制機能の欠如および法人本部のガバナンスの不備が重なって不正請求が行われました。とりわけ、開設者が行うべき施設基準の届出を、適切に管理することなく茨城医療センター長に委ねていたことが不正な届出を防止できなかった原因であると深く反省しております。
 不正の発生原因の概要は以下のとおりです。

① 法人のガバナンスの不備
   法人本部は東京都新宿区にあり、茨城医療センターは遠隔地であるとはいえ、開設者である法人が適切に施設基準の
  届出を管理すべきところ、これを怠り、開設者が行うべき施設基準の届出を茨城医療センター長に委ねていたこと。
   診療報酬不正請求問題のほか、2年間の学長不在問題など組織体制上の諸問題の調査検討を行うために設置した東京医
  科大学第三者委員会からは、診療報酬不正請求について、理事会内で、教授会を選出母体とする教授会側理事と、これ
  に反対する東京医科大学同窓会を選出母体とする反教授会側理事との対立が根底にあり、診療報酬不正請求を最初に認
  識した反教授会側の茨城医療センター担当理事が、それを理事長に報告したのは、施設基準の届出が不正請求に当たる
  と当該担当理事が認識してから1カ月以上後であり、不正請求に対する適正な対応を誤ったと報告されたこと。すなわ
  ち、法人本部における情報収集体制、コンプライアンスの徹底、理事会内部の対立による組織の混乱の抑制などの点で
  ガバナンスの不備があったこと。

② 監査機能の欠如
   法人本部の内部監査室員が兼任で、また内部監査室発足直後ということもあり、不正請求の発見には至らなかったこ
  と。
   また、監事が常勤ではなかったこと。

③ 茨城医療センター内の牽制機能の欠如および決裁手続きの形骸化
   センター長による無理な要求に対して、院内の牽制機能は働かず、担当部署の限られた職員だけが対応したためにセ
  ンター長の暴走を止めることができなかったこと。決裁手続きも、医事課で検討したものを委員会や病院幹部で検討す
  るなどの手順を踏まず、センター長が決裁したものを形式的に捺印させるなど、形骸化していたこと。結果的に、不正
  に関与した職員以外の目に触れることなく、不正な保険請求が行われてしまったこと。

④ 内部通報・相談窓口の周知不足
   法人本部は、学内と学外に1か所ずつ内部通報・相談窓口を開設したが、今回の不正請求では活用されなかったこと。

⑤ コンプライアンス意識の欠如
   当時の茨城医療センター長は、平成10年度からの赤字脱却のために、各種施策を強力に推し進めたが、黒字転換せ
  ず、その過程でコンプライアンスを無視した施策に走ってしまったこと。

3 再発防止策

 前記2の事案の検証に基づき、茨城医療センターのみならず法人全体として再発防止にあたる必要性が明らかになり、次の再発防止策を実施しました。

(1) 茨城医療センターの再発防止策

① 施設基準届出の透明性の確保及び手続きの厳格化
   茨城医療センターは、医師、看護師、医事課及び総務課で構成する施設基準検証委員会を平成21年7月に設置し、診
  療報酬に関する事項の確認と検証を多職種で客観的に行うように改めました。また、同委員会に保険者代表を含む外部
  委員の参加を求め、茨城医療センターには医療保険室を、法人本部には医療保険管理室を設置し、医療保険管理担当理
  事が決裁を行うよう事務手順を厳格化するほか、外部委員による保険診療委員会を法人に設置し、定期的に監査をする
  ようにいたします。

② 医療保険教育の強化
   茨城医療センターでは、施設基準の要件の確認と検証が担当部署任せになっていたとの反省に立ち、医療保険制度の
  知識向上を図るため、平成22年3月に医師向けの手引きを作成して配布するとともに、小冊子を全職員に配布しまし
  た。

③ 保険診療に関する研修会の実施
   保険診療に関する研修会を実施するとともに、東京医科大学病院が実施している当該研修会の内容も、テレビ会議シ
  ステムによるライブ放映を活用して、保険診療の知識の習得に努めています。

(2) 法人のガバナンスの強化策

① 寄附行為の改正
   寄附行為を改正しました。
   主な改正点は、 (1)附属病院長の経営責任を明確にし、附属病院長に対する理事会の監督を強化するために、附属病
  院長3名を職責理事としたこと、(2)経営に対する専門性や中立性を高めるために、外部評議員として評議員のうち10名
  を卒業生以外から選出し、うち3名を理事としたこと、(3)職員の視点を経営に反映させるために、新たに教員職員以外
  の職員5名を評議員とし、うち1名を理事としたこと、(4)法人の業務に対する監査機能を高めるために、監事3名のうち
  2名を卒業生以外の外部有識者とし、また3名のうち1名は常勤としたことなどです。
   この改正により、理事会が職員、卒業生及び外部有識者の三者構成によるものとなりました。とりわけ、外部評議員
  から選出された理事が理事長に選任されたこともあり、理事会によるガバナンスが向上しました。

② 学長による牽制強化
   茨城医療センターに学長が毎月訪問し、実情把握に努めるよう改めました。

③ 附属病院間の牽制強化等
   附属3病院長(3人とも理事)による3病院長会議を毎月定例で開催し、情報共有を図ることにより、各病院の運営に
  対する牽制を強化するよう改めました。なお、病院担当常務理事は、常任役員会で附属病院の報告をし、理事長以下が
  情報共有を図っています。

(3) 法人全体のコンプライアンス強化策

① センター長選出方法の改正
   センター長の独善を防ぐため、従前は教授会で附属病院長予定者を選出することとしていたものを、当該附属病院に
  勤務する講師以上の教員及び教員以外の管理職にも選挙権を付与し、いずれの附属病院でも独善的な病院運営ができな
  いように改めました。

② コンプライアンス担当理事の新設等
   平成22年7月1日に発足した新理事会から、コンプライアンス担当理事を置くこととしたほか、法人本部に経営企画
  室を新設し、コンプライアンス推進を担当させることとしました。併せて、コンプライアンス推進委員会も発足させま
  した。

③ コンプライアンス意識の醸成
   職員に対して医科大学に勤務する各人の役割を再認識させ、コンプライアンス意識の醸成を図るために講演会を開催
  しました。なお、講演会場は東京医科大学病院ですが、茨城医療センターと八王子医療センターにはテレビ会議システ
  ムで中継されています。また、講演はビデオ録画され、当日参加できなかった職員が学内LANで視聴できるようにして
  います。

④ 医学生へのコンプライアンス教育の導入
   平成23年度から、本学医学部学生に対し、入学時のオリエンテーションのほか1年生と4年生の授業でコンプライアン
  ス教育を導入しました。

⑤ コンプライアンス指針の制定
   役員及び教職員が従うべき学校法人東京医科大学コンプライアンス指針を制定しました。

(4) 内部監査体制の強化及び内部通報制度の周知徹底

① 常勤の監事の設置
   平成22年7月1日からの新理事会発足を機に、監事のうち1名を常勤とし、監査体制の強化を図るとともに、三様監査
  (会計監査人による監査、監事監査、内部監査)の連携強化を図りました。

② 内部監査室への専任職員の配置
   内部監査室は兼任の職員で構成していましたが、専任職員を配置しました。

③ 内部通報制度の周知徹底
   内部通報制度の周知徹底のため、ホームページに掲載し、東京医科大学報(教職員全員、学生父母などに配布)にも掲
  載しました。また、コンプライアンス講演会や採用時オリエンテーションの折にも、内部通報制度の周知に取り組んで
  います。

(5) 医療保険制度教育の強化

① 保険診療委員会の開催
   東京医科大学保険診療委員会を設置しました。この委員会は毎年度開催し、附属病院間で医療保険についての取組み
  や実情を共有し、問題点などを討議しています。

② 保険診療に関する冊子の配布
   東京医科大学病院が作成した「東京医科大学病院医師のための必携保険診療ポケットマニュアル」を、茨城医療セン
  ター及び八王子医療センターの医師全員に配布したほか、新規入局医師には保険診療入門の書籍も配布しています。

4 おわりに

 今回の事案は、当時の茨城医療センター長のコンプライアンス意識の欠如に端を発したものですが、同センターのみならず法人全体として多重的な再発防止策を実施しています。これにより適正な保険診療がなされるものと考えていますが、再発防止に向けて重層的かつ継続的な取り組みを行う所存です。