研究活動

東京医科大学ナノ粒子先端医学応用講座 半田 宏 特任教授が平成29年度島津賞を受賞 ~新しい磁性ナノビーズを開発しケミカルバイオロジーの発展に貢献するとともに、長年謎とされてきたサリドマイド副作用の機構を解明~

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ナノ粒子先端医学応用講座 半田 宏 特任教授

 平成29年12月8日、本学ナノ粒子先端医学応用講座 半田 宏 特任教授が、第37回(平成29年度)島津賞を受賞しました。

 島津賞は、公益財団法人 島津科学技術振興財団が設立した科学技術、主として科学計測に係る領域で、基礎的研究および応用・実用化研究において、著しい成果を挙げた功労者を表彰するものです。

 半田特任教授は、「サイエンスは個性とプライド」を研究モットーとし、独自の技術開発は独創的研究を生むと考え、技術開発に向けて異分野融合研究と積極的に取り組んできました。

(1)機能性磁性ビーズの開発
 粒径が200 nmで有機溶媒耐性で、非特異的吸着が少ないラテックス(SG)ビーズを開発し、その後、その中にフェライトを内包した磁性(FG)ビーズを開発して、磁石で簡単に回収できるようにし、手作業で伴う遠心分離を不要としたタンパク質濃縮の自動化を実現しました。

(2)磁性ビーズのケミカルバイオロジーへの応用展開
 薬剤を固定化したSG/FGビーズ(通称:半田ビーズ)は、数十万種のタンパク質を含む細胞・組織破砕液からワンステップで薬剤と特異的に結合し、薬効に関わるターゲットを単離し、その定量的計測を可能とする、革新的なアフィニティ精製技術を確立することに成功しました。サリチル酸、ヘム、ビタミンK2、アミノ酸などの代謝産物などの新規ターゲットを単離・同定すると共に、DNA、タンパク質、ペプチドなどのターゲットの迅速な単離・同定といった従来では到底困難であったことを実現可能にしました。また、基礎研究にとどまらず、民間企業への技術移転によって実用化を図り市販品として広く世界中の研究者、研究機関はもとより製薬企業においても使用されています。

(3)サリドマイド催奇性のターゲットであるセレブロン(CRBN)の発見
 半田特任教授の特筆すべき業績としては、数十年以上も謎であったサリドマイドの薬害機構を解明しその重要なタンパク質としてCRBNを世界に先駆けて同定したことです。一時市場から消えたサリドマイドがハンセン病や多発性骨髄腫などの難病治療に有効であることから市場に舞い戻った稀有な薬剤です。このサリドマイドの催奇性のターゲットを同定し、副作用の無い鎮静催眠剤を戦略的に開発するための道筋が見出されました。

(4)CRBNはサリドマイドの抗がん作用にも関与することを証明
 米国企業との共同研究でCRBNがサリドマイドの抗がん作用にも関わることを証明し、その抗がん作用メカニズムを明らかにした。面白いことに、サリドマイドは免疫担当細胞の活性化とがん細胞増殖の阻害という二つの治療効果を持つことを明らかにしました。

(5)CRBNを介して抗がん作用を示す「CRBN作動薬」という新薬開発
 サリドマイド誘導体で、CRBNとの結合を介して治療効果を発揮するCRBN作動薬は、CRBNと結合するとCRBNの基質選択性を変換することで、作動薬固有の基質タンパク質をユビキチン化・分解する薬剤効果の基本メカニズムを解明し、次世代薬剤の開発に多大な貢献をしています。

(6)磁性と蛍光の両機能を併せ持つ新規蛍光磁性(FF)ビーズの開発
 がんなどの迅速診断への応用展開を企業との連携研究により推進しています。

 ケミカルのターゲットを単離・同定するアフィニティビーズ技術開発に端を発して、サリドマイド副作用のターゲットCRBNの発見から、新規抗がん剤の開発に至るまでの一連の業績は、基礎医学や臨床医学に加えて創薬に多大な貢献をし、半田特任教授が常々言い続けてきた「優れた基礎研究は必ず応用に結びつき、優れた応用研究は基礎研究を生み出す」をまさに実践したものとして高く評価されました。

ナノ粒子先端医学応用講座

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