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産学連携研究推進事業について
 本プロジェクトは、文部科学省より平成14年度私立大学産学連携研究推進事業として選定されました。

 現在、遺伝子検査・診断研究のための機器開発や免疫系機能分子を用いた遺伝子治療に関する臨床研究が試みられていますが、未だ実用化に至っておりません。前者では、臨床検査・診断の現場で求められている性能・信頼性・コストなどの問題点があり、後者では遺伝子送達法、遺伝子修飾・改変、遺伝子発現調節などが重要な課題であります。
 これらの問題点を検討するために、2つのプロジェクト「全自動遺伝子解析ロボット開発」及び「免疫系遺伝子制御・評価法開発」からなる研究組織を構築しました。本プロジェクトでは、悪性腫瘍、感染症、自己免疫疾患などの疾患関連遺伝子を総合的に解析し、さらに、目的遺伝子を修飾・改変することにより、遺伝子診断・治療などに応用可能なシステムを提供することを目的としています。
全自動遺伝子解析ロボット開発
プロジェクト長:内科学第1講座 主任教授 大屋敷 一馬

 近年、医学分野においては疾患特異的遺伝子の網羅的解析により、テーラーメイド医療が可能になりつつあります。しかしながら、現在のマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析法は再現性のよい結果を得ることが必ずしも容易ではなく、コストの面からも実践的ではありません。そこで、磁気ビーズを用いる先端技術の開発において、業績と特許保有の実績のある(株)プレシジョンシステムサイエンスとDNAコンピュータ技術の基本特許を保有する(株)ノバスジーンとの産学連携共同研究にて遺伝子解析の自動化ワークステーションシステムの開発を行います。
 本研究の骨子であります「生体分子コンピューティング」とは、DNA等の生体分子がもつ物理化学的性質を積極的に活用して論理演算系列としての生体分子の反応系列を実現し、計算・計測を行う技術で、超並列性と超大容量メモリという特徴に加え、生体分子をそのまま入出力データとして演算処理を行うことができる特徴を活かすと、実際の細胞、組織に適用して遺伝子診断や発現プロファイル解析等を正確かつ高効率に行うことが可能です。平成14年1月、(株)ノバスジーンはDNA分子反応を実行するハードウェア試作機(DNAロボット)に成功しており、現在、上述のベンチャー企業2社と実用化にむけての遺伝子パネル作成、小型ロボットの開発などを行っていますが、医療分野での利用が大いに期待されています。
免疫系遺伝子制御・評価法開発
プロジェクト長:免疫学講座 主任教授 水口 純一郎

 免疫系は、細菌・ウイルス、悪性腫瘍等の異物の排除に関わっていますが、自己に対しては寛容です。異物は、寄生する場所によりそれぞれ異なった仕組み(細胞性免疫及び体液性免疫)で排除されます。異物が免疫系細胞によって認識されると、活性化され、機能を発揮するエフェクター細胞となります。異物の排除が完了するとエフェクター細胞は細胞死によって除かれます。この巧妙な調節機構が破綻すると自己免疫疾患、アレルギー、易感染などに陥ります。これらの調節機構は細胞膜受容体を介した細胞間の相互作用によって担われていますが、その相互作用に関わっている分子が明らかにされてきました。
 本プロジェクトでは、免疫応答の調節に関わっているサイトカイン及び細胞膜受容体の中で、細胞性免疫の調節に重要な役割を果たしているインターロイキン12、免疫調節作用を有するインターフェロン、及びTNFファミリー蛋白質等に着目し、その投与法及び細胞内シグナル伝達系について検討します。次に目的遺伝子を改変・修飾することにより免疫応答をコントロールし、悪性腫瘍、自己免疫疾患や感染症の制御法を検討します。さらに、DNAマイクロアレイ法を用いて遺伝子発現を網羅的に検討し、サイトカイン作用や有害反応をモニターする方法の開発を行います。これらのアプローチにより、悪性腫瘍、自己免疫疾患、難治性感染症に対する新規治療法の開発や診断法・病態評価法開発に繋げたいと考えています。

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