■ 検査方法
まず便潜血反応を検査の第1歩でスクリーニングとして行います。痔や食事により偽陽性となることがありますが最も簡便な検査です。ポリープでも40%前後、癌では80%位に陽性となります。この検査で陽性となった場合には大腸内視鏡を行うことをお勧めします。もし異常があれば組織をとって(生検)病理学的検査を行います。
■ 大腸癌と診断されたら
どの程度の進み具合(進行度)であるかを診断します。壁深達度は注腸造影や超音波内視鏡、リンパ節転移は超音波内視鏡、CT、MRI、遠隔転移は肝臓はCTや超音波、肺はCTで調べることが一般的です。また直腸癌ではMRIを行い、周りの子宮、前立腺,膀胱への浸潤やリンパ節転移の程度を精査します。
ステージ(進行度)0 |
癌が粘膜の中に存在 浸潤・転移することは100%ないとされる |
I |
癌が粘膜の下さらに筋肉にまで浸潤 |
II |
癌が腸の筋肉を超えて浸潤 |
III |
1,2のいずれかであってリンパ節転移陽性のもの |
IV |
肝臓、肺、腹膜などに転移がある |

出所:「大腸癌治療ガイドラインの解説 大腸癌研究会 2006年版」金原出版に基づいて編集
■ 治療方法
1) 内視鏡手術 従来良性のポリープ、早期癌に内視鏡によるポリペクトミーや粘膜切除術(EMR)が行われていました。しかし良性や早期癌でも大きな腫瘍は内視鏡で切除できず手術を行っていましたが2007年より消化器内科 福澤医師を中心に粘膜下切除術(ESD)を開始しています。この新規治療導入で手術が回避できた症例が増加しています。
2) 手術 早期癌と進行癌では手術の内容がやや異なります。早期癌ではリンパ節転移が少ないので治癒率も高く腹腔鏡を用いた手術を行っています。進行癌ではリンパ節転移率が高くリンパ節の切除を高め、腹腔鏡の手術を行います。心機能、呼吸機能に大きな問題があったり、癌が大きい場合は開腹手術を勧めています。大腸を切除する範囲は結腸では半結腸切除、S状結腸切除が行われます。
直腸癌では人工肛門になるか否かが最も気になるところですか肛門の括約筋に癌が浸潤してなければ肛門を温存します。2004年より肛門の筋肉を一部切除しながら肛門を残す新しい手術(ISR)を約30例行っています。術前に肛門機能を3D肛門内圧検査で評価しています。術後に排便障害が発生するため、腸に行く神経を残したり、新しい直腸(J-pouch)を作ります。また直腸癌の術後にリンパ節郭清による排尿や射精機能の低下が問題となっていました。癌の進行度にもよりますがこれら機能を手術の根治性を損なわず温存する方法を平成元年より行っています。この手術に関しては国内でもかなり早い時期から行ない成果をあげています。直腸癌では腹腔鏡の手術は上部直腸までを適応としています。
■ 抗癌剤治療
術後補助療法:進行度3以上の患者様に行っています。投与期間は6月間が基本です。
転移巣が残っている方には5-FU、ロイコボリンに加えイリノテカン(通称FOLFIRI)やオキサリプラチン(通称FOLFOX)という抗癌剤をあわせて使用し、2008年12月までに110例に使用しています。FOLFOXの初回治療例の奏効率は48%です。
分子標的治療薬 FOLFOXやFOLFIRI療法に併用して行われます。2007年6月よりアバスチンを使用し、初回治療例の奏効率は65%です。アービタックスは10月より使用開始し、主に2次、3次治療の患者さんに行っています。

出所:「インフォームドコンセントのための図説シリーズ 大腸がん 改訂版」 医薬ジャーナル社に基づいて編集
■ 放射線治療
直腸癌の術前に30.6Gy照射していましたが、平成7年より中断していました。照射量や併用化学療法を再検討し、再開の体制になっています。
一方 扁平上皮癌の肛門癌の患者様には肛門を温存する根治照射を抗がん剤と併用で行っています。
■ 血行性転移のある症例の治療
肝転移、肺転移の切除を積極的に行っています。1998年より今までに肝転移巣の切除は約150例に行っており、肝転移切除例の5年生存率は45%です。切除不能な肝転移に対しては全身化学療法を主に行っています。転移巣が小さくなったり、数が減少した場合には切除できる症例が抗がん剤の効果が高いため増加しています。現在まで手術関連死亡例が1例もないことが当施設の特徴です。色々な事情で切除できない場合には内科に依頼してラジオ波で治療することも選択肢としてあります。肺転移切除例は約85例で胸部外科に依頼して行っています。5年生存率は約42%です。
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