<|副腎腫瘍腎腫瘍(癌)精巣腫瘍膀胱癌(尿路上皮腫瘍)前立腺肥大症前立腺癌尿路結石症前立腺生検の詳細|>

HOME

はじめに
 腎腫瘍の中には腎血管筋脂肪腫やオンコサイトーマと言った良性の腫瘍もありますが,約90%が腎悪性腫瘍,すなわち腎(細胞)癌です.また,腎盂粘膜より発生する腎盂腫瘍は別の項で説明します.ここではおもに腎(細胞)癌について説明します.腎(細胞)癌は毎年10万人あたり8〜10人程度の発生率と言われおり,現在増加傾向にある癌です.年齢では40歳代から70歳代に多く発症しますが,近年では30歳 代以下の若年者の発症もしばしば見られます.男女比は2:1ぐらいです.
 腎癌の発生する原因は他の癌と同様明らかなことはわかっていませんが,喫煙,性 ホルモンなどが危険因子として知られています.また,透析中に腎癌が高率に発生することも報告されています.

症状について
 症状は血尿,腹部腫瘤,疼痛が古典的な3主徴されていますが,これらがすべてそろうことはあまりありません.現在は検診や他の疾患の治療中に偶然発見される場合が多くなっており,全体の40%前後です.約10%が転移による症状で見つかっており,発熱,全身倦怠感,体重減少などで発見されることもしばしばあります.

診断について
血液検査や種々の画像診断検査により診断します.

  • 血液検査

    赤血球沈降速度やα2マクログロブリン,ハプトグロブリン,IAPなどが腫瘍マーカーとなる場合もありますが,一般には腎癌に特異的な腫瘍マーカーはありません.

  • 静脈性腎盂造影
  • 超音波検査
  • CTスキャン検査
  • MRI検査

    これらの検査により周囲(隣接臓器)への浸潤の程度,静脈内への進展の程度,他臓器転移の有無,リンパ節の腫大の有無などを確認します.

  • 血管造影

    上記の検査でもはっきりとした診断がつかない場合や手術の際に血管の走行を確認しておけなばならない場合に行います.一般に腫瘍部では血管増生や腫瘍濃染像が見られます.

    以上の検査により病期を決定し,治療法を決めます.

    (TNM分類)
    T0:原発腫瘍を認めず
    T1:最大径が7cm以下で腎に限局するもの

      T1a:最大径が4cm以下で腎に限局するもの
      T1b:最大径が4cmをこえるが7cm以下で腎に限局するもの

    T2:最大径が7cmを越え,腎に限局するもの
    T3:主静脈内に進展,または副腎に浸潤,または腎周囲脂肪組織に浸潤するがGerota筋膜をこえない

      T3a:副腎または腎周囲脂肪組織に浸潤するがGerota筋膜をこえない
      T3b:腎静脈または横隔膜下までの下大静脈内に進展する
      T3c:横隔膜を越える下大静脈内に進展する

    T4:腫瘍はGerota筋膜を越えて浸潤する

    N0:所属リンパ節転移なし
    N1:1個の所属リンパ節転移
    N2:2個以上の所属リンパ節転移

    M0:遠隔転移なし
    M1:遠隔転移あり

治療および手術について
 治療方法は手術により患側腎を摘出することが原則です.肺などに遠隔転移があるような場合でも手術の適応になります.放射線治療や抗がん剤治療(癌化学療法)は 一般的に奏功率は低いと報告されています.

  • 根治的腎摘出術
    腎への到達方法は経腹式(腹部正中切開)と経腰式(側腹部切開)があり,患者さんの状態や腫瘍の大きさなどによってどちらの方法で行うか判断します.そして腎周囲脂肪組織を含め,患側腎を摘出します.腫瘍の部位によってはこのとき副腎も同時に摘出する場合があります.
  • 腎部分切除術,腫瘍核出術
    腎機能が悪い場合,あるいは合併症のある場合などではなるべく正常腎を温存する手術を行います.これが腎部分切除術や腫瘍核出術です.また,腫瘍の大きさが小さく,単発で末梢側にある場合もこの方法が適応となる場合があります.

    多発の遠隔転移があったり,切除不可能と考えられるような腫瘍では以下にあげる他の治療を行います.また,全身状態が悪かったり,高齢で手術が不可能と場合も以 下の治療を行います.

  • 動脈塞栓術
    血尿などの症状が強い場合に行います.レントゲン透視下に大腿部の動脈よりカテーテルを使って金属コイルやゼルフォームというものを腫瘍血管につめて腫瘍を阻血, 壊死させる方法です.
  • 放射線療法
    転移巣の疼痛などが強い場合に行います.根本的な治療ではありません.
  • 免疫療法
    腎癌の肺転移は自然退縮したり,腎臓(原発)を摘出した後に消失する例が報告されており,なんらかの免疫機構と関係していると考えられています.
    免疫療法ではインターフェロン(IFN),インターロイキン2(IL-2)などを注射 します.その効果は20〜40%くらいでそれほど高いもではありません.その他の免 疫療法剤も開発途中でいくつかありますが,まだ保険適応となっておらず,一般的な治療とはなっていません.

    当科においては,これらの免疫療法で効果が得られない進行癌患者に限って免疫細胞治療を実験的に開始しています.

予後
 腎癌の組織型によっても急速に進行するタイプと比較的に進行が緩徐なものとがあります.
 一般に腫瘍が腎に限局していれば5年生存率は73〜93%,腎周囲脂肪組織に浸潤するものでは63〜77%,腎静脈・下大静脈内塞栓のあるものまたは所属リンパ節転移のあるものでは38〜80%,遠隔転移のあるものでは11〜30%と報告されています.



<TOP>