研究関連


研究内容

1)健康増進および疾病予防のための運動に関する研究
平成4年に世界初のスポーツ医学に関するWHO(世界保健機関)研究協力センターが本分野に開設(平成18年解除)され、国内外の政府機関、研究機関、学会などと共同で、健康増進、スポーツ医学に関する国際基準づくりやプログラムの作成、研究、情報交換など、幅広い活動を展開しています。
特に最近では身体活動レベルの国際比較を目的とした国際標準化身体活動質問表(IPAQ)の開発にも参加し、現在この質問表は世界各国で使用されています。


2)運動に関する生体反応の評価の研究
本分野では、磁気共鳴分光法、近赤外分光法、超音波ドップラー法などの非侵襲的測定評価法を用いて、運動時における生体応答の研究を行っています。
具体的には、運動時における骨格筋のエネルギー代謝と筋組織酸素動態のミスマッチング、組織酸素動態の不均一性、および内臓血流を中心とした血流再分配の評価に関する研究を行っています。
これらの研究から得られた成果は生活習慣病の予防や心臓リハビリテーションのための効果的な運動方法の開発に生かされています。


3)心臓リハビリテーションセンターにおける診療・研究
心臓リハビリテーションセンターでは、冠動脈疾患、慢性心不全、末梢動脈疾患、心臓手術後の方を対象とした「心大血管疾患リハビリテーション」を行っています。
これらの診療から得られた情報は、医学的検査項目のみならず、近赤外分光法や超音波ドプラー法を用いて最新の末梢循環指標をモニターし、臨床応用の可能性についての研究も行っています。


4)ヒト褐色脂肪組織の増加方法の検討
肥満および生活習慣病の予防には,安静時代謝を増加させることが有効であり、褐色脂肪組織は、安静時や寒冷誘発性熱産生,糖代謝やインスリン感受性にも関連することが分かってきています。したがって、褐色脂肪組織が多いと肥満および生活習慣病になりにくいと予想されています。
この褐色脂肪組織は、寒冷刺激(例えば、17℃、2時間を毎日、6週間)で活性化、増強することが分かっています。しかし、日常生活でこの寒冷刺激を行うことは現実的ではないので、それに変わる生活習慣(食事、運動習慣など)の改善について研究しています。

5)ヒト生体に対するナットウキナーゼ摂取効果の検討
1,000年以上にわたり日本で伝統的に食されてきた納豆の粘性成分の中に、血栓を直接的に溶解させる成分である“ナットウキナーゼ”が含まれていることが近年明らかとなってきました。ナットウキナーゼは、これまでに判明しているだけでも、線溶系の複数の反応経路を活性化させるとともに、凝固系を抑制することにより、血栓形成を抑える作用のあることがin vitro実験/動物実験で明らかになっています。また、機序は不明ながら、降圧効果や抗炎症作用を有しているとも考えられています。しかしながら、ヒトに対する作用機序の全容は明らかになっておらず、その効果の程度も検証されていません。当研究室では、血栓症予防に対するナットウキナーゼ経口摂取効果を検討しています。

6)エコノミークラス症候群の予防法の効果検証
周術期の患者はもとより、航空機移動やPC作業など長時間にわたり座位姿勢を保持する健常者においても、深部静脈血栓症(deep vein thrombosis、DVT)、いわゆるエコノミークラス症候群が発症することが問題となっています。DVTは、命に係わる肺塞栓症を併発する場合もあり、予防策の早急な確立が求められているにもかかわらず、その効果の検証は十分におこなわれていません。また、座位姿勢保持時の生体がどのような生理学的変化を示すのかという基本的な部分についても、あまりよくわかっていません。そこで、当研究室では、長時間座位姿勢保持時の生体の変化について、各種測定指標を用いて検討するとともに、着圧タイツの着用効果、足関節運動実施効果を検証することにより、DVT発症率を低下させる効果的方策を探っています。

 

 

健康増進スポーツ医学分野主催学会

第126回日本体力医学会関東地方会
 会期:2002年12月7日
 会場:東京医科大学病院臨床講堂

第8回アジアスポーツ医学会学術大会
 会期:2005年5月10日~13日
 会場:京王プラザホテル

第16回体力・栄養・免疫学会
 会期:2006年8月26日、27日
 会場:東京医科大学病院臨床講堂

日本体育測定評価学会第7回大会
 会期:2007 年12月2日
 会場:東京医科大学病院臨床講堂

第6回日本予防医学会学術総会
 会期:2008年11月29日、30日
 会場:東京医科大学病院臨床講堂

第17回 医用近赤外線分光法研究会
 会期:2010年10月16日
 会場:旭川グランドホテル

第22回 医用近赤外線分光法研究会
 会期:2015年10月31日
 会場:持田製薬株式会社 ルークホール

健康増進スポーツ医学分野関連学会

国際学会  ACSM(アメリカスポーツ医学会)
      AFSM(アジアスポーツ医学会)
      ECSS(ヨーロッパスポーツ科学学会)
      FIMS(国際スポーツ医学会)
      ISOTTO(組織酸素輸送に関する国際学会)
      ICO(国際肥満学会)

国内学会 日本体力医学会
     日本肥満学会
     日本運動生理学会
     日本運動療法学会
     日本衛生学会
     日本産業衛生学会
     日本公衆衛生学会
     日本循環器学会
     日本心臓リハビリテーション学会
     日本成人病(生活習慣病)学会
     日本体育測定評価学会
     日本予防医学会
     日本臨床スポーツ医学会


研究会   医用近赤外線分光法研究会
      運動疫学研究会
      酸素ダイナミクス研究会