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東京医科大学 皮膚科学教室
Tokyo Medical University
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膠原病外来

■ 膠原病外来で拝見する疾患
膠原病は自己免疫機序によって結合組織や血管系を系統的に侵す病気で、全身性に多臓器に及ぶものと、主に皮膚が侵されるものがあります。前者には、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎、結節性多発動脈炎、シェーグレン症候群、関節リュウマチ、リウマチ熱などが含まれ、後者には慢性円板状エリテマトーデス(亜型として深在性エリテマトーデス、凍瘡状狼瘡)、亜急性皮膚型エリテマトーデス、限局性強皮症、皮膚型結節性多発動脈炎があります。さらに、関連する疾患として、皮膚型結節性多発動脈炎に似た症状を示すリベドー様血管炎、慢性蕁麻疹に似た症状を示す蕁麻疹様血管炎、白血球機能の異常亢進によるベーチェット病、壊疽性膿皮症も膠原病外来で診察しています。

■ 診療方針
膠原病は治りにくい病気なので、症状が悪くならないように良好なQOL(quality of life)が得られることを目標にして、それぞれの症状に合わせた治療を行います。また、全身症状の悪化に先立って軽微な皮膚症状や血液検査上の異常が出現することが多いために、定期的な診察を行っています。副腎皮質ホルモン薬(ステロイド薬)、免疫抑制薬、血管拡張薬、抗血栓薬などを主に使用し、季節などによる症状の変化に合わせて薬剤を増減しています。 全身症状を伴う場合、膠原病内科を始めとした関連する診療科と連携して治療を進め、必要に応じて入院加療を行います。当科膠原病外来には、毎月約100名の患者様が通院加療されています。

■ 当科で行っている検査
病勢の推移および治療効果をみるためには、診察や各種血液検査だけでは細かい変化をとらえきれません。このため、指先の循環を測定する加速度脈波計、皮膚温度を測定するサーモグラフィー、皮膚の硬さをみる硬度計など新たな検査方法を開発しており、客観的なデータに基づく治療を目標として外来診療を行なっています。

■ 治療方針
当科膠原病外来では、疾患ごとに以下のような治療を行っています。
■エリテマトーデス
全身性エリテマトーデス、亜急性皮膚型エリテマトーデス、慢性円板状エリテマトーデス(深在性エリテマトーデス、凍瘡状狼瘡を含む) 全身症状が強い、活動性の強い場合、当初は入院にてプレドニゾロン(プレドニン®)やベタメタゾン(リンデロン®)等のステロイド薬の全身投与を行います。ステロイド薬に抵抗性の場合、シクロフォスファミド(エンドキサン®)やアザチオプリン(イムラン®)等の免疫抑制薬を併用します。また腎病変を伴った場合、ジピリダモール(ペルサンチン®)等の抗血小板薬を投与します。慢性円板状エリテマトーデスではDDS(レクチゾール®)も有効です。局所療法としては、外用ステロイド薬を用い、線維化の強い病変にはトリアムシノロンアセトニド(ケナコルト®)の局所注射も有効です。内服ステロイド薬の投与が長期に及ぶ場合、その副作用軽減のため、骨・カルシウム代謝薬、胃潰瘍治療薬を適時併用します。
■強皮症、皮膚筋炎
全身性強皮症、限局性強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎、 全身性強皮症の浮腫性硬化期では内服ステロイド薬を、皮膚の硬化自体にはD−ペニシラミン(メルカプターゼ)、レイノー症状にはプロスタグランジン製剤(リマプロストアルファデクス(オパルモン®)、ベラプロストナトリウム(プロサイリン®)内服、リポPGE1(パルクス®)の点滴)を使用します。限局性強皮症の硬化部位には症例に応じてトリアムシノロンアセトニド(ケナコルト®)の局所注射も行います。  皮膚筋炎では急性期に入院にてプレドニゾロン(プレドニン®)の全身投与を行います。(プレドニン®はステロイドミオパチーを起こし難い。)ステロイド薬に抵抗性の場合、シクロフォスファミド(エンドキサン®)やアザチオプリン(イムラン®)等の免疫抑制剤を併用します。皮膚筋炎は胃癌や肺癌などの内臓悪性腫瘍を合併することがあるので、血液検査や内臓の画像診断を行います。
■血管炎
結節性多発動脈炎、リベドー様血管炎、蕁麻疹様血管炎、急性期ではステロイド薬の全身投与を行い、腎病変や皮膚潰瘍を伴う場合、塩酸サルボグレラート(アンプラーク®)、シロスタゾール(プレタール®)等の抗血小板薬を併用します。結節性多発動脈炎では腎病変を中心とした全身症状を指標に、ステロイド薬を減量していきます。
■好中球性皮膚症
ベーチェット病等 ベーチェット病ではブドウ膜炎を伴うことが多いため、特に眼科と連携し診察しています。基本的にはコルヒチン(コルヒチン®)を内服してもらい、口内炎、陰部潰瘍、血栓性静脈炎を対症的に治療します。消化管、神経病変、血管炎を伴う場合に内服ステロイド薬を併用します。壊疽性膿皮症ではステロイド薬の全身投与を行い、潰瘍が上皮化後に漸減します。無効例ではシクロスポリン(ネオーラル®)を併用します。