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化粧品や薬剤、アクセサリーなどの中には、人によってかぶれや湿疹などのトラブルを引き起こす場合があります。パッチテストは、そうした接触皮膚炎の原因を突き止める検査です。パッチテストで陽性である原因物質を身の回りから完全に取り除くことで症状が改善します。パッチテストで陰性だったからといって、それにかぶれていないとは言い切れませんが、「かぶれ」の原因をつきとめるには欠かせない検査です。 |
診察、問診のあとで、背中や二の腕の内側などに、原因として疑われる物質をつけたテスト用テープを2日間(48時間)皮膚に貼ります(写真1)。原因として疑われる物質がはっきりしない場合には25種類程度のスタンダード系列の試薬を貼布する場合があります。48時間後に貼ったものを全て取り除き、そのまま約30分間待ちます。そのあと、皮膚表面の変化を判定します。判定は48時間後、72時間後、1週間後の3回ほど行ない、その間できるだけ激しい運動をさけ、汗をかかないようにします。テストの結果は、紅斑、丘疹、水疱などの判定基準によって行います(表1)。 |
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写真1:パッチテストテープ貼付時 |
当院ではICDRG(国際接触皮膚炎研究斑)基準を用いて判定を行っています。 |
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本邦 |
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ICDRG |
− |
反応なし |
− |
刺激反応 |
± |
軽い紅斑 |
+? |
紅斑のみ |
+ |
紅斑 |
+ |
紅斑+浸潤,丘疹 |
++ |
紅斑+浮腫,丘疹 |
++ |
紅斑+浮腫+丘疹小水疱 |
+++ |
紅斑+浮腫+丘疹+小水疱 |
+++ |
大水疱 |
++++ |
大水疱 |
IR |
刺激反応 |
++++ |
大水疱 |
NT |
施行せず |
◆ |
一般の外来でパッチテストの外来予約をします。原則的に火曜日午後に来院していただく必要があります。判定は木曜日、金曜日、場合によっては一週間後の火曜日に行います。 |
◆ |
汗をかきやすい6月〜9月は原則的にパッチテストを行いません。 |
◆ |
パッチテストはかぶれや湿疹が完全に治ってから行います。 |
◆ |
検査前日は入浴し、貼布部位にオイルや保湿剤を外用しないで来院ください。 |
◆ |
検査日一週間前までに原因として疑われる化粧品、薬剤などを持参ください。 |
スクラッチテストは即時型アレルギー反応の検査に用いられます。前腕屈側あるいは背部の皮膚を注射針で約5mmほど傷をつけて被疑物質をたらします。15〜30分後にその反応を見ます。重症型の薬疹の既往のある方は入院にて検査を行います。 |
■OAS:口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome)とは? |
OASは通常白樺を中心とした花粉症患者において、新鮮な果物、野菜、ナッツ類などの摂取に伴って生じる主としてかゆみや腫れなどの口腔咽頭の粘膜症状を指し、この特異な食物アレルギーは花粉アレルゲンと植物性食物アレルゲンに共通する抗原分子によると考えられています。白樺花粉症の患者がリンゴを食べると、口がかゆくなるというのはその代表例です。 原因となる食物を食べて約15分以内に、口腔、口唇、咽頭部に刺激感、かゆみ、ひりひり感、突っ張り感などが現れます。鼻や眼の花粉症様の症状や、じんましんや血管浮腫、腹痛、嘔吐、下痢、喉頭閉塞感、喘息、アナフィラキシーなどを伴うこともあります。セロリは重篤な例もあるので注意が必要です。 当外来では軽症のかたは外来にてプリックテストなどを行っていますが、重症例では入院の適応となります。 |
ショックの既往のある方、内服薬の再投与試験、重症型の薬疹の既往のある方。 |
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