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東京医科大学 皮膚科学教室
Tokyo Medical University
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腫瘍外来

■ 腫瘍外来
腫瘍外来は、毎週木曜日の午後に予約制で診療を行っています。この外来は、当院外来あるいは入院ですでに外科的治療、化学療法を受けていらっしゃる患者様を対象としています。初めて受診される方は、皮膚悪性腫瘍の診断確定のため各曜日の初診外来をまず受診してください。表に当科で入院治療を受けられた患者様の疾患別内訳を示しました。患者総数はここ数年で増加する傾向にあり、特に悪性黒色腫、乳房外パジェット病患者数は増加傾向にあります。外来では、疾患の性質、患者様の状態を考慮した上での再発チェックを行っています。治療方針としてインフォームドコンセントにもとづく「納得できる治療」を心がけています。
>>皮膚腫瘍の症例
>>皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン

■ 基底細胞癌
皮膚悪性腫瘍の中で最も高頻度に見られる腫瘍で、基底細胞様細胞の増殖巣よりなります。高齢者の頭部、顔面に好発し強い局所破壊性を示しますが、転移は殆どみられません。日本人では黒色調を呈することが多く、後述する悪性黒色腫と鑑別が困難な場合があります。ダーモスコピーによる検査が診断に有用です。治療として外科的切除が第1選択となりますが、鼻周囲、眼囲に発生した場合、形成外科学的手技が必要となる場合があります。

■ 乳房外パジェット病
パジェット病には、乳房パジェット病、乳房外パジェット病の2種類がありますが、前者は乳癌に準じた治療となるので通常乳腺科で扱われます。皮膚科で扱うのは、陰部、腋窩に好発する乳房外パジェット病です。乳房外パジェット病は、境界明瞭な淡紅色斑〜褐色斑としてみられ、ときに脱色素斑もみられます。進行すると浸潤、硬結及び結節が生じ、やがてリンパ節転移が生じます。診断の確定には皮膚生検が必要です。治療としては外科的治療が第一選択となりますが、患者様の状態によっては放射線治療、抗癌剤治療を行う場合もあります。

■ 悪性黒色腫
色を作る細胞であるメラノサイトの悪性腫瘍で、悪性度が高く転移しやすい腫瘍です。黒色調を呈することが多く、日本人では足底と指趾爪部に多くみられます。治療は、外科的切除が主体で、状況によってはリンパ節廓清、抗癌剤による化学療法を追加する場合もあります。

■ 血管肉腫
軟部組織肉腫の一つである血管肉腫は、高齢者の顔面から頭部に好発する血管由来の悪性腫瘍です。悪性度が高く高率に局所再発し、リンパ節、肺に転移することが知られています。病状の進行は速く、早期に診断することが重要で、治療として手術、放射線治療、化学療法を組み合わせた集学的治療が行われます。当科では、患者様と相談の上、外来で化学療法、インターロイキン2の局注、動注を行っています。

■ 皮膚悪性リンパ腫
皮膚に原発する悪性リンパ腫で代表的なものにT細胞由来の菌状息肉症があります。進行は緩徐で、長い年月をかけて紅斑期、扁平浸潤期、腫瘍期へと進行し、末期には臓器への浸潤がみられます。治療として紅斑期から扁平浸潤期まではステロイド外用、narrowband UVBやbath PUVAなどの光線療法が行われますが腫瘍期以降では、前述の治療では効果が弱く、放射線治療、抗癌剤による化学療法が行われます。

■ 入院加療を行った皮膚悪性腫瘍の内訳
  2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
基底細胞癌 17 6 11 9 16 23 16
ボーエン病 5 11 3 2 10 13 7
有棘細胞癌 8 8 13 7 5 15 10
悪性黒色腫 10 7 14 6 12 37 35
乳房外パジェット病 12 9 21 5 4 6 3
附属器癌 0 2 0 0 0 0 0
軟部組織肉腫 4 4 0 0 0 0 0
皮膚悪性リンパ腫 7 0 8 0 0 10 7
血管肉腫 0 0 8 0 0 0 0
隆起性皮膚線維肉腫 0 0 0 5 5 2 0
菌状息肉症・悪性リンパ腫 0 0 0 2 0 0 0
脂肪肉腫 0 0 0 1 0 0 0
悪性腫瘍遠隔転移 0 0 0 0 8 0 0
転移性皮膚癌 0 0 0 0 0 0 1
その他 0 0 1 0 5 14 13
合計(人) 63 47 79 37 65 120 92