アルツハイマー病に代表される神経変性疾患と癌に焦点をあて、根本的な原因の解決と治癒を可能とする治療薬の開発に全力を挙げています。 ![]() |
研究テーマ研究概要『神経変性疾患』は、不明の機序により疾患特異的な神経細胞死が進行性に起こり、その結果としてその神経細胞の担う神経機能が進行性に脱落する疾患である。中高年以降の発症が多いという事実が意味するように加齢が発症要因の一つである。遺伝子異常が関係する家族性発症例を除けば、ほとんどの疾患で発症原因は不明であり、またその発症メカニズムはまだ十分解明されていない。その結果パーキンソン病を除く多くの疾患では有効な治療手段がほとんど存在しない。高齢化社会を迎えた先進国では、このような治療法の乏しい『神経変性疾患』が社会問題化しつつあり、これを克服することが医学の最も大きな課題となりつつある。 当研究室では最先端の分子細胞遺伝学的技術を駆使して、最も頻度の高い認知症性神経変性疾患であるアルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)と代表的な運動神経変性疾患筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis, ALS)などの発症メカニズムを解明する基礎研究ならびに臨床応用するための展開研究を行っている。特に、AD関連神経細胞死を特異的に抑制する神経栄養因子[ヒューマニン ]を応用した治療法は世界で最初の神経細胞死を直接抑制するAD治療法になる可能性を秘めている。 また、同時に当研究室では高齢化社会におけるもう一つの重大疾患である癌の克服を目指して、独自の視点から『癌特異的な細胞周期制御機構』の基礎研究を行っている。表面上、両者は二つのかけ離れた疾患ではあるが、その背後にある生命現象には極めて共通の基盤があり、当研究室では類似の手法を駆使して有機的に両者の研究を融合させつつ研究を進めている。 |