全訳版

IV.A.1. 基本原則と報告ガイドライン

IV.A.1.a. 論文執筆の基本原則

 観察論文や実験論文は、通常Introduction、Methods、Results、Discussionのセクションに分かれることが多い(必ずというわけではない)。このいわゆる“IMRAD”形式は、ただ適当に作ったものではなく、科学的な発見が行われる過程を直接反映した形式になっている。長い論文は、内容を明らかにするために部分的に小見出し(subheadings)が必要な場合もある(とくにResultsとDiscussion部分)。症例報告、レビュー、エディトリアルなど、タイプの異なる論文では、他の形式を使う場合が多い。

 電子フォーマットによる論文発表の到来によって、細部または全体的な情報を電子版の原稿にのみ追加することが可能となり、情報の階層化やクロスリンク、論文の抜粋などもできるようになった。著者は、このような新しい出版形式を開発・使用する際には、編集者と連携を密にする必要があり、また、査読用に電子フォーマット用の補助的な資料も提出しなければならない。

 原稿はすべて(タイトルページ、抄録、本文、謝辞、参考文献、各表とその説明文を含む)ダブルスペースにし、余白を十分にとり、編集者や査読者が1行ずつ論文を編集し、コメントや質問を直接ハードコピーに書き込めるようにすること。電子投稿の場合でも、査読や編集時には原稿を印刷することがあるので、ファイルはダブルスペースにしておく必要がある。

 編集過程で、査読者や編集者が原稿を部分的に参照することがよくあるが、ページ番号がないと説明しにくい。そのため、原稿のタイトルページから全ページにかけて、連続した通し番号をつける必要がある。

解説版

IV.A.1. 基本原則と報告ガイドライン

IV.A.1.a. 論文執筆の基本原則

 ここでは、論文作成のなかでも、おもに原著論文の執筆について説明している。総説、速報、編集者への手紙など他の種類の原稿は、原著論文とは違う形式で書く必要がある。加えて、学術誌によっても形式が異なることがあるので、『新統一規定』に書いてあるように、最初にどの学術誌に投稿するかを決めてから、その学術誌の形式に合わせた論文を書くのが望ましい。しかし、原著論文の大半、おそらく全体の9割以上は、基本的に従来のIMRAD形式(I=introduction、M=method、R=results、A=and、D=discussion)で書かれている。「統一規定」は、論文を全体的により明確にするため、研究報告をさらにさまざまなサブセクションに分けてもよいとしている。IMRAD形式は、科学的発見の過程を順にたどるようになっている。つまり、Introductionでは研究の背景を紹介し、Methodsは使用した文献および方法、Resultsは研究によって実際に得られた具体的な結果、Discussionは研究成果の有意性が検討・解釈され、最後に結論が導かれる、という順である。

 この部分は電子フォーマット出版についての説明だが、いくぶん漠然としている。おそらく、提出や審査の過程などの電子出版の方法は現在進行形で日々変化しているため、具体的な記載をするのが非常に困難なためであろう。ここでは、紙の消費を最小限に抑えつつ、価値ある関連情報を電子メディアを通じて読者に提供するために、ハードコピー版に載らない説明やセクションを電子版のみで掲載する可能性について述べている。現状では、電子投稿にはまだ問題点があり、とくに図形部分がそうである。しかし、電子フォーマット出版は今後増加の一途をたどり、うまくいけば単純化・合理化が実現するだろう。現時点では、著者は投稿する学術誌の投稿規定の電子論文に関する部分を一語一句丁寧に読みこむことが必要である。投稿規定の文章は、英語のネイティブ・スピーカーでさえ、正確に理解するのがむずかしい場合があるので、英語が母国語でない著者は、投稿規定の解釈と電子的なコミュニケーションに熟達している人に相談できるとよい。この段落の最後では、論文の本文に付け加える予備的なマテリアルが電子フォーマットで提供可能な場合は、ピア・レビュー用として提出すること、と書かれている。

 この段落の内容は、きわめて一般常識の範囲内だが、非常に重要である。それは、「タイトルページに始まり図の説明分に至るまで、原稿はすべてダブルスペースにすること」である。それから、余白は大きくとるよう指示している。基準として、文章の全周辺に少なくとも2.4 cmは空けることとなっている。これは、論文がどんなにきちんと書かれていても、とくにレベルの高い学術誌では、編集時に原稿に多くの変更が書き込まれるため、印刷業者が校正刷りの際に見間違えないよう、十分な書き込みスペースが必要なためである。校正刷りに誤りが多ければ、それを直すために著者は相当な労力を費やさなければならない。最終チェックした校正刷りの返却期限は、大半の学術誌で48時間以内と定められているので、さらに大変である。よって、必ずすべてのセクション全文をダブルスペースにしておくこと。学術誌によっては、完璧にダブルスペースでない原稿は、一読もせずそのまま著者に送り返すところもある。本文のタイトルページからDiscussionの終わりまではダブルスペースになっているのに、なぜか参考文献と図表の説明文(figure legends)がシングル・スペースという論文がたびたび見られる。これでは受理されない。また電子投稿でも、査読過程ではハードコピーが使われることが多く、書き込むスペースが必要であるため、ファイルの中身もダブルスペースにするよう「統一規定」に明記してある。タイトルページと図表のページを含め、原稿の全ページに通し番号をつけることも重要である。これは、ピア・レビュープロセスで、査読者が文中で特定の部分を指摘する際や、著者がそのコメントに答える際に、加筆なり削除なり、正確に原稿のどこが変更されたかを示すために大切である。

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