脆弱X症候群とは?

脆弱X症候群で見られる症状:

特に男児では女児に比べて症状は顕著です.大部分の男児が精神発達遅滞を来すにもかかわらず,知能の障害を呈する女児は3分の1にすぎません; 残りの女児は正常のIQを持つか,学習障害を呈するのみです.感情や行動の問題は両性で見られます.

脆弱X症候群の一般人口中での頻度

脆弱X症候群は遺伝によりもたらされる精神発達障害としては唯一のしかも最も頻度の高い疾患です.その頻度はかなり巾広い数字が推定されていますが,何人かの専門家によれば,どの人種や民族でも男女ともに最低1000人に1人は罹患していると信じられています.より慎重な人々は,男性では1500人に1人,女性では2500人に1人と推定しています(Warren, Jama, Feb. 16, 1994 - Vol.271, No.7, p.536).これらの数字の違いは,脆弱X症候群の罹患頻度に関する大規模な研究調査が未だに行われていないために生じています.いずれにせよ,脆弱X症候群は最も一般的な遺伝子疾患であり,80から90%の脆弱X症候群の患者さんは未だにそうであるとの正しい診断を受けずにいます.

何が原因で脆弱X症候群は起きるのか?

1991年,研究者たちは,FMR1という名前の脆弱X症候群の病因遺伝子を発見しました.脆弱X症候群を発病している患者さんではFMR1の欠損(全変異=フル・ミューテーション)により遺伝子が働かなくなっています.欠陥工場のようにFMR1遺伝子は通常作らなければならない蛋白質を生産出来なくなります.残り人々は保因者と呼ばれています.即ち,FMR1遺伝子に小さな欠損があります(前変異=プレ・ミューテーション)が,脆弱X症候群の症状を示さない人達です.

脆弱X症候群は遺伝します.保因者男性(伝達男性)は自分の娘全員に前変異(プレ・ミューテーション)を伝えますが,息子には伝えません.一方,保因者女性の子供には50%の確率でこの遺伝子が伝えられます.脆弱X症候群の前変異はその子供がこの症候群を発症する前に静かに次の世代に伝えられることもあります.

遺伝子がどのようにして遺伝するのかに関する詳しい情報はこちらです(英文).

脆弱X症候群の検査

脆弱X症候群のDNA診断法1992年に開発されました.この検査は極めて正確で,保因者も完全発症患者も検出出来ます.どこの医師でも血液検査を依頼出来るようになっており,ついでその血液が検査可能な施設のひとつに送られます.結果が判明するには通常,数週間かかります.

脆弱X症候群の症状には特に年少児では微妙なものもあり,また総人口の中での発生率も高いものですので,多くの専門医は,原因のはっきりしない身体発育遅延や精神発達遅滞のある方にはこの脆弱X症候群の検査を推奨しています.

合衆国の大きな医療センターの大部分でこの脆弱X症候群の検査を受けることが出来ます(日本でも同様です).標準的検査価格は$200から$300です. 古い細胞遺伝学的検査はより高価(しばしば$900にものぼる)ですし,保因者のみならず時には完全発症の患者ですら診断出来ないことがあります.この検査にかんする更に詳しい情報については,あなたの主治医または遺伝カウンセラーとご相談下さい.

何か治療法はありますか?

現在のところ脆弱X症候群の治療法はありませんが,適切な教育や医療により個々の子供の能力を最大限に発揮させることが出来ます.参考文献(一部日本語)の項目に教育法に関する幾つかの文献を掲げてあります.しかしながら,多くの男児・女児が一生を通じて重い症状を呈したままで過ごします.治療費や特殊教育費,そして収入の減少などの額には驚かされます.治療を目指した研究の必要性が急がれます.脆弱X染色体のような単一の遺伝子に起因する遺伝性疾患の病因解明や治療の可能性を探る進歩は近年,目をみはるものがあります.現在の医療研究の焦点となっているのは,

多くの研究者が,実現可能となれば医療により全ての年齢の脆弱X症候群の患者さんを救うことが出来ると信じています.専門家は欠損しているFMR蛋白は脳において構造機能よりむしろ制御機能を有するものであり,人間の一生を通じて必要な蛋白であると考えています.言葉を変えれば,脆弱X蛋白は脳の「ハードウェア」ではなく「ソフトウェア」に関連するものであろうということです.

脆弱X症候群協会研究基金 の日本語ホームページ
脆弱X症候群協会研究基金 の英語ホームページ