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血尿詳細

  1. 血尿とは
    尿中に赤血球が以上に増加した状態をいいます.診断は中間尿10ccを用いて1500回転/分で5分間遠心し,その沈渣を顕微鏡で鏡検します.通常,400倍の鏡拡大で1視野に赤血球数が5個以下ならば正常と考えます.
  2. 血尿の種類
    血尿には目で見て赤色ないし茶褐色を呈する肉眼的血尿,鏡検でわかる顕微鏡的血尿があります.また常に血尿が見られるものを持続的血尿,時々血尿が見られる場合を間歇的血尿といいます.さらに,側腹部痛や排尿痛などを伴う症候性血尿と症状を伴わない無症候性血尿があり,これらは血尿の原因診断において大変有用な情報となります.
  3. 尿潜血反応
    血尿の有無を簡易的に試験紙で判定するもので,通常−,±,1+,2+,3+の5段階で表記します.赤血球中のヘモグロビンのペルオキシダ−ゼ反応を利用したものであるため,偽陽性となる場合があります.
    →注1
    注1:尿潜血が偽陽性となる可能性があるもの
    (1)採尿後時間がたった尿
    (2)低張尿
    (3)酸化物の混入
    (4)ビタミンC,酸化物などの多量摂取
    (5)膿尿,細菌尿
    (6)ヘモグロビン尿,ミオグロビン尿
    (7)溶血
    (8)生理中
    (9)脱水
    (10)早朝第1尿
    (11)過度の運動
  4. 赤色尿
    ある種の薬物や濃縮尿で尿の色が赤くなることがありますが,これは血尿とは異なり,厳密に区別する必要があります.
    →注2
    注2:赤色尿の原因
    (1) 血色素尿(暗赤褐色);溶血性貧血,異常ヘモグロビン血症,赤血球代謝異常
    (2) ミオグロビン尿(暗赤褐色)
    (3) ポルフィリン尿(ブドウ酒様暗赤色)
    (4) ビリルビン尿(赤色〜橙黄色)
    (5) 薬物;緩下剤(赤褐色,ピンク色,橙色,赤色,黄褐色など薬物により様々),解熱・鎮痛薬(赤褐色),ビタミン薬(橙赤色),抗痙攣薬(ピンク〜赤褐色),骨格筋弛緩薬(橙色〜紫赤色),抗凝固薬(ピンク〜赤褐色)
    (6) 重金属;鉛,水銀(赤褐色)
    (7) 濃縮尿(膿赤褐色);脱水,下痢,著明な発汗,発熱など

  5. 血尿が見られる疾患
    血尿を来す疾患としては泌尿器科領域では腫瘍,結石,感染症,嚢胞性腎疾患,外傷,血管異常,奇形,腎下垂などがあります.ほかには腎臓内科的疾患,内科疾患による出血,凝固障害,過度の運動によるものなどに分類されます.さらに諸検査でも原因不明のものがあり,これらは特発性腎出血ないし良性血尿などと呼ばれています.
    →注3,4
    注3;腎臓内科的疾患
    各種腎炎,Ig A腎症,腎動脈硬化症,高血圧性腎症,糖尿病性腎症など
    注4;出血,凝固に影響する薬物
    ワーファリン,カリウム,アスピリン,小児用バファリン,パナルジンなどが代表的
  6. 血尿を来す主な泌尿器科腫瘍
    中高年期以降の無症候性血尿では,まず背後にこれらの腫瘍の存在を疑わなければなりません.しかも悪性腫瘍の大部分では,何らの治療を行わなくても止血され,後になってまた何の前兆もなく出現するという間歇的な無症候性血尿が典型的です.また泌尿器科領域の悪性腫瘍のほかに他臓器悪性腫瘍の尿路への転移や浸潤により血尿が見られることもあります.
    →注5,6
    注5;泌尿器科悪性腫瘍(血尿の原因となるもの)
    腎細胞癌,尿路上皮癌(腎盂癌,尿管癌,膀胱癌),尿道癌,前立腺癌など
    注6;泌尿器科良性腫瘍(血尿の原因となるもの)
    腎良性腫瘍,前立腺肥大症,尿道カルンクル(女性)など
  7. 尿路結石
    尿路結石には腎結石,尿管結石,膀胱結石,尿道結石があり,多くの例で血尿に伴って膿尿(感染)も見られます.
  8. 尿路感染症
    感染症では血尿よりも膿尿が前面に出ますが,ウイルスによる膀胱炎や著明な炎症では肉眼的血尿を伴うこともあります.血尿の頻度が高いのは膀胱炎ですが腎盂腎炎でも良く見られます.
  9. 嚢胞性腎疾患
    孤立性・多発性腎嚢胞は50歳以降にしばしば見られます.これら嚢胞性腎疾患や多発性嚢胞腎(遺伝性)も血尿の原因となることがあります.
  10. 腎・尿路外傷
    腎臓,膀胱,尿道が主要な損傷臓器です.尿管の外傷は頻度が低く,あまり見られません.
  11. 血管異常
    問題となるのは肉眼的血尿を来す腎動静脈瘻,腎動脈瘤などの腎血管異常です.また左腎静脈が上腸間膜動脈と大動脈にはさまれて圧迫されるナットクラッカー症候群でも肉眼的血尿の原因となります.
  12. 奇形・腎下垂
    奇形は結石形成や尿流障害などを合併しやすいために血尿の原因となることがあります.小児の膀胱尿管逆流現象では血尿が主訴となることもあります.また腎下垂(遊走腎)も血尿の原因となりますが,よほどの重症例を除いて外科的治療の適応となることはまれです

終わりに

泌尿器科的な血尿を中心に述べてきましたが,特に泌尿器科においては血尿は最も重要な症状の一つであり,詳細な状況を良く見極めた上で慎重に検査をしていく必要があります.ひとくちに血尿といってもその原因や出血源は非常に多彩です.ここには代表的なものを挙げてきましたが,実際にはこのような典型例ばかりでなく,詳しいお話を伺って様々な検査をしてはじめて診断のつくことも少なくありません.とにかく血尿があったらなるべく早く泌尿器科を受診することが一番大切です.



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