1.医科学専攻(修士課程)教育の概要
医科学専攻修士課程では、医学部医学科以外の理科系学部生命科学関連学科の卒業生が医学研究遂行に必要な医学知識を習得して医科学研究の土台作りができる教育課程を提供します。学生は、必要な講義実習を受けるとともに、研究室に所属して指導教員のもと研究に従事し、修士論文を提出します。必修の講義科目はセクション①~③であり、その他選択講義科目として⑤を設けています。すべての学生は医学特別研究④において、あらかじめ選択した各研究室に所属して実際の研究を行います。
教育課程の概要図
①セクション1:「医学特論」I~IV
医学の入門から最先端の医学上の問題まで簡潔に概観します。また、医学の研究を進める上で必須事項である「医学英語」や「生命倫理」の基本を習得します。
②セクション2:基礎生命科学
(「基礎生命科学特論」「分子細胞生物学特論」「分子病態学特論」)
生命科学の基本である分子生物学や細胞生物学を復習し、あるいは新たに習得し、悪性腫瘍、免疫疾患、神経疾患、生活習慣病を例にとって、生理状態と疾患状態を連続的かつ概念的に理解します。
③セクション3:「生体機能医学特論」I~IV(「分子生理学」「分子病理学」「神経解剖学」「分子薬理学」「感染症学」「分子免疫学」)「医療データサイエンス」
基礎医学の必須科目を、そのコア部分を中心に習得し、さらに現代医学の現状と課題をそれぞれの分野個別に理解します。また、必要な分子細胞生物学の概念を復習あるいは履修し、多くの疾患の解説も同時に組み込み、病気の治療法開発という観点から、基礎医学を理解することを目標とします。また、医療データサイエンスのコアを習得します。
④セクション4:「医科学特別研究」
各教室/研究室に所属して、その研究室の専門とする研究を遂行します。
<参加教室>
微生物学 免疫学 薬理学 組織・神経解剖学 病態生理学 分子病理学 公衆衛生学
医学総合研究所 生化学 細胞生理学 健康増進スポーツ医学 医療データサイエンス
(免疫制御、分子腫瘍、運動器科学、トランスレーショナル研究部門)
以上の科目群を必修科目とし、その他に以下のような選択科目を設け、学生の希望する進路に応じた履修ができるように構成しています。
⑤セクション5:「医療安全学」「医学教育学」「生体病態医学特論」I~IV(臨床科目)
医療安全学、医学教育学ではそれぞれ、臨床や医科学研究現場における医療安全管理の概略、医学系の教職に就いた際の基礎として、医学教育学の基本を習得します。また、代表的ないくつかの臨床分野(循環器学、呼吸器・甲状腺学、神経学、リウマチ学など)の基礎から最先端までを網羅します。この科目を設置する目的は、医学研究が臨床といかに関わっているかを具体的な例によって理解することにあります。
2.修了要件
本専攻の修了要件は、必修科目を含めて30単位以上を修得し、かつ、必要な研究指導を受けたうえで、修士論文の審査及び最終試験に合格することとする。
3.研究指導の方法と修了までのスケジュール
研究指導は、以下のようなステップを踏んで進めます。
- 入学希望者は、指導を希望する教員と面接し、研究内容等に関する事前相談を行い、了解を得ることとします。
- 入学後、直ちに研究指導教員が決定されます。
- 学生は、必修科目の履修を開始すると同時に、研究指導担当教員の指導の下で、1年次前期には具体的な研究計画を作成して予備的研究を開始します。1年次の9月から本格的な研究に着手し、研究内容によっては、本学の医学倫理委員会へ申請を行い、承認を得ることとします。
- 2年次の前期終了時点までに研究における一定の成果を挙げることを目指しますが、研究の遂行にあたっては、研究指導担当教員による指導だけでなく、研究室内各グループの報告会に参加して、研究指導担当教員以外のスタッフや大学院(博士課程)学生などから助言を受けます。
- 2年次の11月医学会総会で研究発表を行います。その後、12月第一水曜日までに、修士論文を提出し、1月の学位論文審査委員会で審査し、2月の研究科委員会の最終審査を経て、合否が決定されます。
学位の質を担保するために、提出された修士論文の研究内容には、「少なくとも将来学術論文として学術雑誌に掲載されうる内容を含むこと」を学位研究指導の指針とします。
医学特別研究予定表 | ||
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1年次 | 4月 9月 |
入学、研究室配属、研究テーマ決定予備的な研究開始 本格的な研究開始 |
2年次 | 4月 11月 12月 1月 2月 3月 |
進級 東京医科大学医学会総会で研究発表 学位論文提出 学位論文審査(1次審査) 学位論文審査(公開審査) 学位論文審査(2次審査) 修了 |
4.学位審査基準
修士の学位の授与に関しては、学位申請者が提出した修士論文を①医学研究科委員会で審査(1次審査)し、さらに、②論文内容に関するす口頭発表を医学研究科委員会で選出された主査1名、副査2名が審査を行い、その審査内容は「学位論文審査要旨」として医学研究科委員会に報告される。この報告を基に、医学研究科委員会にて以下の審査基準に則り合否を決定(判定)する(2次審査)。
〔審査基準〕
- 研究テーマの背景・目的を十分に理解し、かつ、他者に明確に説明できること。
- 研究方法をよく理解し、かつ、それを他者にわかりやすく説明できること。
- 研究結果を論理的に考察し、科学的に結論に結び付けることができること。
- 専攻分野・関連領域に関する十分な知識を有すること。
- 論理的に思考し、質疑応用に対応する能力のあること。
- 将来、学術論文として学術誌に掲載されうる研究内容であること。
- 倫理的配慮がなされていること。(①研究計画の立案および遂行、研究成果の発表ならびにデータの保管に関して、適切な倫理的配慮がなされていること。また、②学内の倫理規程や研究テーマに関連する学会や団体の倫理基準等を遵守していること。)