2018年8月7日
学校法人東京医科大学
文部科学省大学支援事業と入学試験における不正問題に関する
内部調査報告書の受領と本学の今後の対応について
本学が選定を受けました文部科学省による大学支援事業と入学試験に関する不正問題を引き起こしましたことにつきましては、皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、また、社会の信頼を大いに裏切ることになりましたこと、心より深くお詫び申し上げます。
昨日、本件に関する内部調査を依頼しておりました田辺総合法律事務所から、調査報告書を受領いたしました。同調査においては、前理事長・臼井正彦、前学長・鈴木衞による贈賄の疑い、および入学試験に関する不正行為が明らかになりました。国民の皆様、これまでに本学を受験された皆様、全ての大学関係者の皆様、ならびに本学学生と保護者の皆様には、改めて心より深くお詫び申し上げます。
つきましては、調査報告書、および同報告を受けての本学の対応等につきまして、下記のとおり報告させていただきます。
記
1.調査報告書について
2.今後の調査について
今回の調査は第一報として1か月間で行ったものであり、また、調査報告書にもあるとおり、多くの資料が押収されているなかでの調査となったことから、本件の全容を把握するには至っておらず、今後さらなる調査が必要であると考えている。
入学試験については、文部科学省より、過去6年分の調査の指示を受けていることから、できるかぎり早急にこれを実施する。
なお、今後の調査等については、押収された資料の還付等に関して捜査当局にお願いし、資料を整えつつ、第三者委員会を設置することとした。同委員会の具体的な人選等について検討を進める。
3.入学試験における不正への対応について
1 得点調整による「合格者」への対応
(1)全般的な対応
調査報告書に記載されている得点調整の状況については、前述のとおり、大学に残された資料に基づくものであり、入試に関する資料の全てを精査できたわけではない。調査報告書の内容を受けて、得点調整によって合格した可能性のある者への対応を教授会において検討する。
検討の方向性としては、本件においては、得点調整の行為そのものは大学側が行ったことであるので、学生の地位をはく奪することはふさわしくないと考えている。ただし、今回の調査報告書のみで判断しきれるか、それとも更なる調査が必要かを含めて検討する。
(2)元局長子息への対応
調査報告書によれば、得点調整がなくとも繰上合格となっていた可能性が指摘されている。一方で、「元局長子息の合格」に関しては、今回のブランディング事業における対価であることも指摘されている。このようなことも考慮しつつ、教授会において慎重に検討する。
2 得点調整によって不合格となった受験生への対応
(1)全般的な対応
まず、得点調整によって不利益を被らせてしまった受験生の皆様に対し誠意をもって対応する。調査報告書に記載されている得点調整の状況については、前述のとおり、大学に残された資料に基づくものであり、入試に関する資料の全てを精査できたわけではない。調査報告書の内容を受けて、得点調整によって合格した者の影響により不合格となった可能性のある者への対応を教授会において検討する。
対象となる当時の受験生の現在の状況や希望、本学の学生定員など様々なことを考慮し、適宜、文部科学省と協議しながら、教授会において、慎重に検討する。
(2)女子の二次試験での減点
女子の二次試験(小論文)において一律減点していたことについては、断じてあってはならないことであり、これは根絶する。過去の女子受験生に対する対応についても、誠心誠意検討する。
(3)浪人生の二次試験での得点調整
入学試験において、浪人生の得点調整をしていたことについては根絶する。過去の受験生への対応についても、誠心誠意検討する。
3 入学試験の改善策
まずは文部科学省から指示を受けている調査を進め、再発防止策を検討したい。既に、学長職務代理の下で、「入試改善委員会」を立ち上げ、具体的な入試の改善策の検討に着手している。
入試改善委員会は、学長職務代理の直轄の組織とし、現在の入試委員会には属さない主任教授クラス4名をメンバーとした。得点改ざん防止策等(監視カメラ、パソコンルームの入室制限、ファイルのアクセスログの保存と内容の監視など)を検討する。
既存の「入学試験選考委員会」は、学長を含めた大学執行部からの独立性を確保するため、学長、副学長、副学長補を構成員から除外する。
また、外部委員による監査を行うため「入試監査委員会」を立ち上げる。
なお、これらの施策については、調査報告書の指摘事項を踏まえて、更に精査する。
4.女性差別への対応
入学試験において、女性を一律減点していたことについては断じてあってはならないことであり、これを根絶するのはもちろんのこと、そこにとどまらず、入学試験以外においても改めて全学を検証する。
なお、一方で本学ではダイバーシティ推進に努めてきたところでもあるが、改めてこれらも検証し、さらにより良い環境となるように改善を進める。
5.私立大学研究ブランディング事業
調査報告書の指摘のとおり、自主返還を考えている。
6.ガバナンス改善
1 理事会の改革
理事会としては、今回の前理事長・前学長の不正行為について、責任を痛感している。調査報告書の指摘のとおり、理事会が適正に機能するよう、また特に理事長、学長が厳正に役割を果たすことができるよう、あり方の改革に向け議論を早急に開始し、しかるべき時期に信を問う必要があると考えている。
2 理事長・学長の選出
調査報告書では、理事長・学長の適性として、不正入学への関与の有無についても指摘されている。このような指摘を踏まえて、新理事長・新学長の選出を検討しなければならないと認識している。
なお、新学長の選出については、今回の問題の発覚前から、新学長の選考手続きが進行してきたところだが、現在、手続きを停止している状態である。調査報告書の指摘を踏まえて、学長選考方法をどのようにするのか、速やかに教授会で検討を行う。
3 本学全体の改革に向けて
今回の問題を踏まえた本学全体の改革に向けて、調査報告書にも「コンプライアンス再構築検討委員会」を設置すべきとの指摘があるとおり、外部有識者の知見をあわせて、地に足のついた再生策・組織風土改革をしっかりと進めたい。
以上