【概要】
東京医科大学(学長:林 由起子/東京都新宿区) 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野 塚原清彰主任教授、三宅恵太郎助教、生化学分野 宮澤啓介主任教授、高野直治准教授、公衆衛生学分野 菊池宏幸講師を中心とする研究チームは、TP53変異のある頭頸部癌に対する全く新しい治療として、WEE1阻害薬とHDAC6阻害薬の併用療法の可能性を見出しました。
単剤でTP53変異癌に対して効果を上げることが知られていたWEE1阻害薬に、HDAC6阻害薬を併用することにより、腫瘍細胞のみに効く条件を損なうことなく、効果を増強するメカニズムを解明しました。
本研究成果は、2022年3月28日に「International Journal of Oncology」にオンライン掲載されました。
【本研究のポイント】
●HDAC6阻害薬のRicolinostatにChk1(1)のリン酸化を抑える効果があることを発見しました。
● AdavosertibによるWEE1(2)阻害にRicolinostatによるChk1のリン酸化阻害が加わることで、がん細胞の細胞周期(3)を強制的にM期に突入させてmitotic catastrophe(4)をより強力に引き起こすことを発見しました。
●mitotic catastropheの増強はTP53変異を有する細胞に対して選択的に確認されました。正常細胞にはTP53変異がないので、臨床応用された場合は、腫瘍細胞に対してより特異的な効果を発揮し、副作用を抑えた治療効果が期待できます。
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