低分子化合物を用いて特定の疾患関連タンパク質を選択的に分解するという新しい治療戦略が創薬の分野で注目されています。「タンパク質分解誘導薬」の研究開発が精力的に進められていますが、この種の薬理作用を示す化合物のうち現在までに薬事承認されているのはレナリドミドやポマリドミドといったサリドマイド系の薬剤のみです。サリドマイド系の薬剤は体内でセレブロン(CRBN)という選択的タンパク質分解に関わる因子に結合して多様な薬効を発揮しますが、このことは2010年、東京医科大学(学長:林 由起子/東京都新宿区)の半田宏兼任教授と伊藤拓水客員准教授らが世界ではじめて突き止め、同グループは米国 セルジーン社及びBMS社と共同で、この成長著しい研究開発分野を牽引してきました。
今回、同グループが東京工業大学の山本淳一助教、山口雄輝教授とともに、これまでの長年にわたる国内外の関連研究を総括し、臨床的に重要なタンパク質分解誘導薬の歴史と展望について執筆した20ページおよぶ総説記事が、英国王立化学会のChemical Society Reviews誌(インパクトファクター 60.615)に2022年8月1日掲載されました。
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