骨軟部組織に発生する未分化小円形細胞肉腫は、若い世代に発生する高悪性度の腫瘍群です。かつては、ユーイング肉腫の類似疾患として扱われていましたが、近年のゲノム医学の進歩により主な原因遺伝子が次々に同定され、2020年に発行された世界保健機構(WHO)の分類で独立した疾患群として認められるに至りました。この疾患群の中でも特に悪性度の高いCIC再構成肉腫の原因遺伝子であるCIC-DUX4を2006年、東京医科大学(学長:林 由起子/東京都新宿区)医学総合研究所 未来医療研究センターの中村卓郎特任教授らの研究グループが世界に先駆けて同定し、その後もモデルマウスの作製に成功するなど、この分野の研究に貢献してきました。
今回、同グループが、ドイツ癌センターのトーマス・グリュンワルト教授、フロレンシア・シドル・アラナス博士、南カリフォルニア大学のジェイムズ・アマトゥルーダ教授、キュリー研究所のオリヴィエ・デラトゥル博士らとともに、進捗著しいこの分野の研究を紹介し、新たな発症機構や治療法の開発に向けた最新の動向を解説した総説記事が、英国科学誌「Nature Reviews Disease Primers」誌(IF 65.038)に2022年10月6日に掲載されました。
【本研究のポイント】
- 従来、ユーイング類似肉腫として診断されていた小円形細胞肉腫に対する理解が進み、線維形成性小円形肉腫(DSRCT)、BCOR再構成肉腫、CIC再構成肉腫、EWSR1-NFAT2肉腫が独立した疾患概念として捉えられることになった。
- 分子病態が明らかになり、難治性希少がんの診療に寄与することが期待される。
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