2023/07/13
研究活動 プレスリリース

【プレスリリース】定量的核形態情報を用いた淡明細胞型腎がんの再発予測~従来の核異型度を超える再発予測能をもつ人工知能を応用した診断技術を開発~

 東京医科大学(学長:林 由起子/東京都新宿区)分子病理学分野の黒田雅彦 主任教授、人工知能応用医療講座の齋藤彰 特任教授、泌尿器科学分野の松原脩也 助教、大野芳正 主任教授らの研究グループは、定量的核形態情報を用いて淡明細胞型腎がんの再発を予測する人工知能を応用した診断技術を開発しました。

 この研究成果は、淡明細胞型腎がんの再発予測に核形態の定量的評価と人工知能技術が有効であることを示し、従来の再発リスク因子とは別の観点から正確な再発予測を提供することが期待されます。この研究結果は、2023年7月7日、英国科学誌Scientific Reports誌 (IF 4.997)にオープンアクセス論文として掲載されました。


【本研究のポイント】

  • 腎がんは術後5年以内に再発するものから10年以上経過後に再発するものまで、その再発時期は様々です。米国泌尿器科学会や欧州泌尿器科学会から提唱されているリスク分類は従来のT病期や核異型度などを基本としたものであり、術後長期までの再発予測には限りがあります。そのため今回はこれまで使用されていた病理学的因子とは別の、がん細胞の核形態情報に着目しました。

  • デジタル病理画像技術を用いて細胞核の形態に関する特徴量を抽出し、細胞の核異型のみで判断可能なアルゴリズムを開発しました。5年以内に再発した症例、5~10年で再発した症例、10年時点で無再発であった症例の核形態の特徴をそれぞれ人工知能 (AI)に学習させ、実際の症例で再発予測が可能かどうかを検討しました。

  • 5年時点での再発の有無、10年時点での再発の有無をそれぞれ予測できるかどうかを目的とし、AIの検証テストを行ったところ、それぞれ100%の正答率で正解することができ、少なくとも10年以内の再発症例については再発の有無だけでなくその再発時期も含め予測が可能であることが示されました。


■プレスリリースはこちら>>

ページトップ