2024/09/18
大学院医学研究科 研究活動

本学呼吸器内科学分野 小神 真梨子助教(社会人大学院生)が、第9回 日本肺高血圧・肺循環学会学術集会において「Young Investigator's Award(基礎) 優秀賞」を受賞

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賞状を手にする小神助教(左から2人目)と研究指導にあたった細胞生理学分野の横山詩子主任教授(右)

 2024年8月10日、本学呼吸器内科学分野 小神 真梨子助教が第9回 日本肺高血圧・肺循環学会学術集会において「Young Investigator's Award(基礎) 優秀賞」を受賞されました。小神助教は、本学の社会人大学院生でもあり、研究指導委託という形で細胞生理学分野で研究しています。

 この賞は、独創的な研究の奨励と若手研究者の育成を目的としたものです。


【受賞演題】

IPAHにおけるStanniocalcin1の肺動脈リモデリング抑制効果

【受賞理由】

 特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)における平均肺動脈圧の上昇は病態形成に重要な役割を担うと予想されますが、その機序は明らかになっていません。我々は独自の静水圧印加装置を用いて加圧培養した肺動脈平滑筋細胞のRNA-seqから、圧力に反応してIPAHで発現が増加するStanniocalcin1(STC1)遺伝子を見出しました。圧力応答分子STC1は、肺動脈平滑筋の細胞周期停止を介して肺動脈平滑筋細胞の増殖を抑制しました。低酸素誘発性肺高血圧モデルをSTC1欠損マウスで作製すると、野生型と比較して右室収縮期圧、肺動脈中膜肥厚度、増殖期肺動脈平滑筋細胞の割合が有意に増加しました。これらの結果から、STC1の補充が肺動脈リモデリングを抑制し、従来の血管拡張薬とは異なる新規作用機序のIPAH治療となり得る可能性が示唆されました。

■受賞者コメント(呼吸器内科学分野 助教 小神 真梨子(社会人大学院3年生)
 今回、日本肺高血圧・肺循環学会学術集会においてYIAを頂き大変光栄に思います。私は呼吸器内科学分野の社会人大学院生として、細胞生理学分野で御指導いただきながら肺高血圧症の研究を行っています。2年間、病棟から離れ研究室で毎日を過ごしながら、細胞やマウスを使った実験を積み重ね、今回の研究成果を得ることが出来ました。研究を御指導いただいた細胞生理学分野 横山詩子主任教授、大学院での研究に背中を押してくださった呼吸器内科学分野 阿部信二主任教授をはじめ、ご指導・ご協力賜りましたすべての先生方へ感謝申し上げます。今後の医療に貢献できるよう、引き続き研究を進めてまいります。

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