東京医科大学医療データサイエンス分野 田栗正隆主任教授、横浜市立大学医学部 循環器・腎臓・高血圧内科学教室 石井健夫客員准教授(善仁会横浜第一病院 副院長)、涌井広道准教授、田村功一主任教授、善仁会横浜第一病院 吉村吾志夫院長らの研究グループは、血液透析患者6,791名を対象とした観察研究データに対して、2種の尿酸生成抑制薬(XOR阻害薬*1:、アロプリノール(ALLO)、フェブキソスタット(FEB)*2)の生命予後や心血管イベントについての効果を、周辺構造モデル*3を用いた解析により比較しました。その結果、生命予後に関しては2種の尿酸生成抑制薬間で差が見られなかった一方で、心血管イベントに関してはアロプリノールでは薬剤非使用と比較して抑制効果が見られたもののフェブキソスタットによる抑制効果は認められませんでした。
本研究成果は、米国腎臓財団(National Kidney Foundation)の学術誌「Kidney Medicine」にオンライン掲載されました(2024年8月28日)。
【本研究のポイント】
- 透析患者において2種の尿酸生成抑制薬はいずれも生命予後を改善した。
- 腎と腸管の排泄トランスポーターを阻害する尿酸生成抑制薬では心血管イベントの抑制効果が見られなかった。
- 尿毒症性物質の排泄促進の重要性が示唆された。
【論文情報】
- タイトル: Allopurinol, Febuxostat, and Nonuse of Xanthine Oxidoreductase Inhibitor Treatment in Patients Receiving Hemodialysis: A Longitudinal Analysis
- 著 者:Takeo Ishii, Nodoka Seya, Masataka Taguri, Hiromichi Wakui, Ashio Yoshimura, Kouichi Tamura
- 掲載雑誌: Kidney Medicine
- D O I: 10.1016/j.xkme.2024.100896
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