東京医科大学医学部医療データサイエンス分野の田栗正隆主任教授、岩井医療財団岩井整形外科病院の富永亮司医師、滋賀大学データサイエンス・AIイノベーション研究推進センターの池之上辰義准教授、福島県立医科大学大学院医学研究科臨床疫学分野の栗田宜明特任教授を中心とする研究グループは、日本人骨粗鬆症患者を対象に、新しい骨粗鬆症治療薬と従来の治療薬に対して、心血管疾患の発生リスクを比較する研究を実施しました。その結果、新薬ロモソズマブは、従来薬ビスフォスフォネートと比較して心血管疾患のリスクに大きな差がないことを明らかにしました。この研究成果は、ロモソズマブの心血管疾患のリスクが高くないことを示す経験的根拠を提供し、医療現場における治療選択に役立つものです。
本研究成果は、2025年1月17日、科学誌「Journal of Bone and Mineral Research」に掲載されました。
【本研究のポイント】
- 新しい骨粗鬆症治療薬ロモソズマブは、開発段階から優れた骨折予防効果が報告されてきましたが、心血管疾患リスクの増加に関する懸念も指摘されていました。
- 研究グループは、日本の医療レセプトデータを用い、約6万人の骨粗鬆症患者を対象に、安全性比較を行いました。
- ロモソズマブと従来から広く使用されているビスフォスフォネートの使用開始後1年間における心血管疾患の発生リスクを解析した結果、両薬剤間で心血管疾患の発生率に大きな差が認められなかったことを実証しました。
【論文情報】
- タイトル: Comparative cardiovascular safety of romosozumab versus bisphosphonates in Japanese patients with osteoporosis: a new-user, active comparator design with instrumental variable analyses
- 著 者: Ryoji Tominaga, Tatsuyoshi Ikenoue, Ryosuke Ishii, Kakuya Niihata, Tetsuro Aita, Tadahisa Okuda, Sayaka Shimizu, Masataka Taguri, Noriaki Kurita
- 掲載誌名:Journal of Bone and Mineral Research
- D О I : https://doi.org/10.1093/jbmr/zjaf010
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