2025/04/14
研究活動 プレスリリース

【プレスリリース】前頭側頭型認知症治療に向けたプログラニュリン補充療法の生体への影響を解明 ~プログラニュリン補充療法の安全性向上への応用に期待~

 東京医科大学(学長:宮澤啓介/東京都新宿区)薬理学分野 草苅伸也講師と金蔵孝介主任教授、同大学医学総合研究所 須藤カツ子非常勤講師らの研究グループは、神経保護因子として機能するプログラニュリン(PGRN)が過剰に働いてしまうことで、本来の機能とは逆に神経毒性を引き起こすことを見出しました。さらに、このPGRNによる神経毒性はPGRNの発現量の増加に伴って増強することを明らかにしました。
 現在、PGRNをコードするグラニュリン(GRN)遺伝子の遺伝子変異による前頭側頭型認知症(Frontotemporal dementia:FTD)に対する治療としてPGRNの補充療法の開発が進められております。本研究成果は、安全なPGRN補充療法の確立に貢献することが期待されます。

 この研究成果は、2025年4月1日、国際神経生物学誌「Neurobiology of Disease」に掲載されました。

【本研究のポイント】

  • ヒトPGRNを過剰発現するトランスジェニック(Tg)マウスはFTDに類似した病態を示した。
  • FTD発症に関わるPGRN変異体(MT) TgマウスもFTD様の行動異常と神経細胞死を示した。
  • 培養細胞におけるPGRNの過剰発現は細胞死を引き起こした。

【論文情報】
タイトル:Excessive expression of progranulin leads to neurotoxicity rather than neuroprotection
著  者:Shinya Kusakari, Hiroaki Suzuki, Mikiro Nawa, Katsuko Sudo, Rio Yamazaki, Tamami Miyagi, Tomoko Ohara, Masaaki
     Matsuoka, Kohsuke Kanekura(*:責任著者)
掲載誌名:Neurobiology of Disease
DOI : https://org/10.1016/j.nbd.2025.106895

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