2025/06/30
研究活動 プレスリリース

【プレスリリース】悪性化破骨細胞由来の細胞外小胞を介した前立腺癌骨転移進展メカニズムの解明 〜細胞外小胞を標的とした前立腺癌骨転移に対する新規治療法の開発に向けて〜

 東京医科大学(学長:宮澤啓介/東京都新宿区)医学総合研究所 未来医療研究センター 分子細胞治療研究部門の落谷孝広特任教授、田村貴明客員研究員(千葉大学)、吉岡祐亮講師は、千葉大学医学部附属病院泌尿器科の坂本信一診療教授、市川智彦前教授らの研究グループと共同で、前立腺癌骨転移巣で悪性化した破骨細胞由来の細胞外小胞(Extracellular vesicles: EVs)が腫瘍進展を加速させることを明らかにし、破骨細胞由来EVsが腫瘍浸潤に先立つ炎症性骨破壊を惹起するメカニズムの一端を示しました。

 本研究結果は、2025 年 6 月 23 日に、Journal of Extracellular Vesicles誌 (IF: 14.5) に掲載されました。

【本研究のポイント】

  • 前立腺癌の骨転移は主として造骨性骨転移を呈しますが、骨転移巣の腫瘍先進部位に おいては骨を吸収する破骨細胞が異常に活性化していました。
  • 前立腺癌細胞に教育された破骨細胞は、炎症性サイトカインであるIL-1βに関わる遺伝子の発現亢進を特徴とする悪性形質を獲得していることがわかりました。
  • この悪性破骨細胞由来のEVsには正常の破骨細胞の活性を促進し、骨芽細胞の活性を抑制するマイクロRNAが豊富に含まれていました。
  • 前立腺癌骨転移マウスモデルにおいて、悪性破骨細胞由来EVsに特異的なマイクロRNAを投与すると腫瘍進展が加速し、異常な骨破壊が認められました。

【論文情報】

タイトル:Extracellular Vesicles From Prostate Cancer-Corrupted Osteoclasts Drive a Chain Reaction of Inflammatory Osteolysis and Tumour Progression at the Bone Metastatic Site

著  者:Takaaki Tamura1,2, Tomofumi Yamamoto1,3,4, Akiko Kogure1, Yusuke Yoshioka1, Yusuke Yamamoto3, Shinichi Sakamoto2, Tomohiko Ichikawa2 and Takahiro Ochiya1*責任著者)

1 Department of Molecular and Cellular Medicine, Institute of Medical science, Tokyo Medical University, Tokyo, Japan

2 Department of Urology, Graduate School of Medicine, Chiba University, Chiba, Japan

3 Laboratory of Integrative Oncology, National Cancer Center Research Institute, Tokyo, Japan

4 Division of Biological Chemistry and Biologicals, National Institute of Health Sciences, Tokyo, Japan

掲載誌名:Journal of Extracellular Vesicles

D O I:https://doi.org/10.1002/jev2.70091

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