東京医科大学(学長:宮澤啓介/東京都新宿区)薬理学分野 金蔵孝介 主任教授、宮城碧水(博士課程3年)、早稲田大学 人間科学学術院 友岡領 研究助手、神山淳 同教授、慶應義塾大学 再生医療リサーチセンター 岡野栄之 センター長/教授らを中心とした研究グループは、クロマチンリモデリング因子として知られるATRXが、核内で液-液相分離(LLPS)と呼ばれる機構を介して「凝集体(液滴)」を形成し、これが神経細胞の分化を促す重要な役割を担っていることを初めて明らかにしました。
研究チームは、ATRXがLLPSによって核内に反応の場を作り出し、神経分化に必要な遺伝子の発現を調節していることを示しました。これにより、神経分化機構にATRXがどのように関与しているのか、その過程が明らかになりました。本研究成果は、ATRXの変異によって引き起こされる発達障害(ATR-X症候群)や悪性の脳腫瘍である膠芽腫の病態解明や新規治療法の開発の新たな道を拓くと期待されます。
本研究成果は、2025年7月14日にNature(英国)系の科学雑誌『Nature Communications』に掲載されました。
【本研究のポイント】
- 知的障害や脳発達異常の原因遺伝子ATRXが、脳細胞の運命を決める新たな仕組みを発見。
- ATRXが核内に「凝集体(液滴)」を作り、これが神経細胞の正常な分化を促進することを解明。
- 凝集体形成が阻害されると神経細胞への分化過程が正しく進まず、神経管構造の異常など脳発達に重大な影響を及ぼすことを示唆。
- ATRXの変異によって引き起こされる発達障害(ATR-X症候群)や膠芽腫などのがんの病態解明、さらには新たな治療法の開発につながることが期待される成果。
【論文情報】
- タイトル:Phase Separated Condensates of ATRX Regulate Neural Progenitor Identity
- 著者(所属機関名):友岡領(早稲田大学)、佐野坂司(慶應義塾大学)、宮城碧水(東京医科大学)、安藤(野田)友子(早稲田大学)、坂野聡重(早稲田大学)、溝田紀子(早稲田大学)、金蔵孝介(東京医科大学)、岡野栄之(慶應義塾大学)、神山淳*(早稲田大学)
- 掲載誌名:Nature Communications
- D О I : https://doi.org/10.1038/s41467-025-61881-0
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