2025/11/27
研究活動

ストレスを受けたときに脳から出る「細胞外小胞エクソソーム」が不安を和らげる 〜メンタルヘルスの新たな治療法につながるかも〜

【概要】

 東京医科大学(学長:宮澤啓介/東京都新宿区)医学総合研究所 未来医療研究センター 分子細胞治療研究部門 吉岡祐亮 講師と落谷孝広 特任教授は、航空自衛隊・航空開発実験集団・航空医学安全研究隊の溝端裕亮博士、防衛医科大学校の守本祐司教授らの研究チームと共同で、強いストレスを受けたマウスの血液に含まれる「脳由来エクソソーム(脳の細胞から出る極小の袋状の粒子)」に不安を抑える働きがあることを明らかにしました。

 この新発見では、短時間の強いストレスを受けたマウスの血液から脳由来エクソソームを回収して、これを別のマウスに投与すると、不安を感じたときに現れるしぐさが弱まることがわかりました。この効果は、エクソソームの中に入っているマイクロRNAという分子が鍵でした。さらに、たくさんの種類があるマイクロRNAの中で、miR-199a-3pと呼ばれるものがとくに重要で、これが神経細胞(ニューロン)におけるMecp2という遺伝子の働きを弱めることを突き止めました。これらの成果は、エクソソームやマイクロRNAを使った新しい不安関連疾患の治療法につながる可能性を示します。

 本研究成果は2025年11月18日付で国際学術誌Translational Psychiatry(IF=6.2)に公開されました。

【本研究のポイント】

  • 短時間(1時間)のストレスを負荷したマウス由来の脳エクソソームを他のマウスに投与すると、不安の程度を示す指標が改善された。
  • ストレス負荷マウス由来の脳エクソソームに含まれるマイクロRNAのうち、miR-199a-3p、miR-99b-3p、miR-140-5pの量が増加していた。
  • 人工的に合成したmiR-199a-3p、miR-99b-3p、miR-140-5pの混合物を投与しても、不安の指標が改善された。
  • 不安の改善を引き起こすしくみとして、miR-199a-3pが神経細胞(ニューロン)のMecp2遺伝子に直接結合し、その働きを弱めることが示された。

【論文情報】

  • 雑誌名:Translational Psychiatry
  • 論文タイトル:Stress-induced brain extracellular vesicles ameliorate anxiety behavior
  • 著者:Yusuke Mizohata, Yusuke Yoshioka, Minori Koga, Hiroyuki Toda, Hiroyuki Ohta, Yasunobu Kobayashi, Takahiro Ochiya, Yuji Morimoto
  • DOI:https://doi.org/10.1038/s41398-025-03754-0

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