このたび、本学ケミカルバイオロジー講座の半田宏特任教授が参画する共同研究グループにおいて、当該研究に関する論⽂が、
2020年9月21日(米国時間)米科学誌「ネイチャーケミカルバイオロジー(Nature Chemical Biology)」に掲載されました。
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【概要】
東京工業大学の山本淳一助教と山口雄輝教授、東京医科大学の半田宏特任教授、埼玉医科大学の木崎昌弘教授らの研究グループは、多発性骨髄腫の治療薬であるポマリドミドの抗がん作用にARID2というタンパク質の分解が関わっていることを明らかにした。
サリドマイド誘導体であるレナリドミドやポマリドミドは免疫調節薬とも総称され、治癒の難しい血液がんである多発性骨髄腫などに対する治療薬として用いられている。ポマリドミドはレナリドミド抵抗性の患者にも有効なことから、レナリドミドとは異なるメカニズムで抗がん作用を発揮すると考えられるが、その詳細は不明だった。
今回の研究により、ポマリドミドがARID2の分解を引き起こすことでレナリドミドとは異なる抗がん作用を発揮していることが明らかとなった。さらに、ARID2がレナリドミド耐性や再発・難治性の多発性骨髄腫で高発現しており、患者の予後を予測する「予後不良マーカー」として有用であることも明らかとなった。
今回の研究の成果により、再発・難治骨髄腫の新たな診断法や治療法の開発が期待される。