膠原病外来

膠原病は自己免疫機序によって結合組織や血管を侵される病気です。多臓器に及ぶため、リウマチ・膠原病内科をはじめ、関連する科と連携しながら治療しています。当専門外来は、皮膚病変を中心に治療しています。

対応疾患

全身性エリテマトーデス・皮膚エリテマトーデス
全身性強皮症
皮膚筋炎
シェーグレン症候群
ベーチェット病
結節性多発動脈炎
限局性強皮症
皮膚血管炎

診療方針

膠原病は診断基準・治療ガイドラインが確立されているため、診断が確定しない限り治療は行いません。確定診断に至るまで、期間を要する場合があります。定期的に通院していただき、心のケアもさせていただきます。また多臓器病変が合併した場合は、該当する科と一緒に治療していきます。

当科で行っている最近の治療

①全身性エリテマトーデス・皮膚エリテマトーデス

エリテマトーデスによる蝶形紅斑や脱毛は、今までステロイド外用薬で治療していましたが、効果は必ずしも良くありませんでした。2015年に世界標準治療薬である、ヒドロキシクロロキン硫酸塩(プラケニル®)が再認可され、エリテマトーデスの皮膚症状は改善するようになりました。近年、全身性エリテマトーデスに対して生物学的製剤が登場し、ベリムマブ(ベンリスタ®)、アニフロルマブ(サフネロー®)を併用することで、SLEの病勢をコントロールすることができます。

②全身性強皮症

寒くなるとレイノー症状を伴い、手指の潰瘍が生じます。プロスタグランジンE1製剤点滴治療や手指潰瘍の発症抑制のためエンドセリン受容体拮抗薬(トラクリア®)を投与します。また逆流性食道炎併発例が多いため、プロトンポンプ阻害薬(タケキャブ®、ネキシウム®)を投与します。
間質性肺炎や肺高血圧症を合併する場合があるので、定期的に検査をします。

③シェーグレン症候群

涙と唾液が出なくなり日常生活に支障がでる疾患です。唾液を出すために、ピロカルピン塩酸塩顆粒(サラジェン顆粒®)を内服します。また当病院口腔外科で口腔ケアの指導を受けていただきます。ドライアイの場合は眼科と併診します。
シェーグレン症候群は、甲状腺疾患、慢性関節リウマチ、悪性リンパ腫など合併症が多いです。定期的に検査をします。

④皮膚筋炎

皮膚筋炎はいくつかの病型に分類されますが、各々の病型で検出される特異的な自己抗体が発見され、予後との関係が明らかとなり治療方針が立てやすくなりました。 治療は長期になります。確定診断には、筋肉から組織をとり診断します。間質性肺炎や内臓悪性腫瘍を併発する場合があります。他科と連携しながら治療をします。また、γグロブリン大量静注(IVIG)療法が保険適用になり、ステロイド治療抵抗性の症例でも速やかに改善するようになりました。

毎週金曜日午後に診療を行っております。患者様が多いため、待ち時間が長くなっています。御迷惑をおかけします。

  • 瀬下ら、難治性逆流性食道炎により浮腫性声帯炎が出現した限局皮膚硬化型全身性強皮症の1例. 皮膚科の臨床. 2021
  • 吉田ら、メポリズマブで神経症状の改善がみられた好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の1例. 臨皮. 2021
  • 水戸ら、背部に発症した小児限局性強皮症の1例. 皮膚科の臨床. 2022
  • Ito, et al. Effectiveness of omalizumab in two cases of normocomplementemic urticarial vasculitis due to perivascular mast cell infiltration. Allergol Int 2021

皮膚科学分野について

皮膚科診療について

研究・業績