脱毛症外来

当院皮膚科脱毛症外来は脱毛症に詳しい5名の医師が各曜日を担当しています。まず一般外来の初診を受診して、一般的な説明、血液検査、局所免疫療法の感作などを受けてから、次回に脱毛症外来を予約してください。 脱毛症外来では、以下のような症状・疾患の方を拝見しています。

  • 円形脱毛症
  • 男性型脱毛症・女性型脱毛症
  • 休止期脱毛:周期的に脱毛が多くなる
  • 休止期脱毛:周期的に脱毛が多くなる
  • トリコチロマニア(抜毛症):自分で気づかずに抜毛してしまう。学童女児に多い
  • 全身性疾患に伴う脱毛:慢性甲状腺炎、鉄欠乏性貧血、膠原病など
  • 薬剤性脱毛症:抗がん薬だけでなく一般的な内服薬でも生じることがある
  • 先天性脱毛症
  • 瘢痕性脱毛症:扁平苔癬、エリテマトーデス、禿髪性毛包炎など毛
  • 毛幹の疾患:縮毛、結節毛など

円形脱毛症

円形脱毛症は小型の脱毛斑が1個だけの単発型から頭髪全体あるいは全身の毛が脱落してしまうような重症型まで様々なタイプがあります。毛球部に対する自己免疫疾患と言われています。人口の0.1~0.2%に発生すると言われ、一生のうちに円形脱毛症になる確率は1.7%と報告されています。男女差はなく全年齢層に発症します。円形脱毛症の患者さんには橋本病などの甲状腺疾患、尋常性白斑、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患が合併することが知られています。またアトピー疾患(気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎)を合併することもよく知られています。

症状

単発型
小型の脱毛斑が1個のみのもの。多くは放置しておいても自然治癒します。
少数多発型
複数出現する脱毛斑の脱毛範囲が25%未満の症例に適用される病名。
多発型
複数出現する脱毛斑の脱毛範囲が25%を超えるもの。
蛇行型
頭髪の生え際に帯状に脱毛を生じるもの。難治。
全頭型
脱毛の範囲が概ね全頭に及び、長期間症状が固定しているもの。
汎発型
脱毛の範囲が全頭以外に眉毛、睫毛を含めた全身に拡大し、長期間症状が固定しているもの。
急速進行型
急速に全頭から脱毛が始まり、短期間に脱毛範囲が全頭に及ぶもの。多くはその後急速に回復傾向に向かうことも多い。

治療

単発型、少数多発型
ステロイド外用薬、ステロイド局所注射
エキシマライトなどの紫外線療法
多発型
局所免疫療法、ステロイド外用薬:広範囲のものは除く
エキシマライトなどの紫外線療法
50%を超える範囲の場合にはJAK阻害薬内服
蛇行型
局所免疫療法、ステロイド局所注射
50%を超える範囲の場合にはJAK阻害薬内服
全頭型
局所免疫療法、50%を超える範囲の場合にはJAK阻害薬内服
急速進行型
ステロイド全身投与:プレドニゾロン内服/メチルプレドニゾロン点滴要入院

各種治療法について

ステロイド外用薬
副作用が少ないので最も一般的に行われる治療法です。脱毛が広範囲の場合はそのほかの治療法との併用が良いようです。
紫外線療法(エキシマライト、エキシマレーザー)
高出力の紫外線を患部に照射することで円形脱毛症の原因となる毛包周囲のリンパ球を制御します。週1-2回の照射が必要です。当科ではエキシマレーザーを導入しておりエキシマライトより効果が良いようです。
ステロイド局所注射
脱毛部にステロイドの局所注射を行います。効果は高いですが、注射による痛みを伴うのが難点です。4-6週に1回の割合で始めていきます。あまり広範囲なものには向きません。
ステロイド全身投与
急速に進行する脱毛症においては通常の治療ではその進行を抑えることは難しいので、ステロイドの全身投与を行う場合があります。通常、中等量から3か月ほどかけてゆっくり減量していきます。副作用としては糖尿病、高血圧、高脂血症、胃潰瘍、骨粗しょう症、緑内障などがありますので、定期的に採血をして副作用がないことを確認しながら使用する必要があります。ご希望がある場合には高容量のステロイドを3日間で点滴するステロイドパルス療法も行っています。
JAK阻害薬(オルミエント®
2022年6月に円形脱毛症に対しての適応が承認された新薬です。細胞のJAKという部分を選択的に抑える内服薬です。ステロイド全身投与ほどの副作用が無いので、長期に使用できるのが特徴です。概ね50%以上の脱毛をきたしている場合が適応となります(くわしくはトピックス:オルミエント®参照)

生活上の注意

精神的・肉体的に余裕のある生活、バランスのよい食事、適切なヘアケア、禁煙。繰り返す疾患なので良くなっても油断せず、悪くても希望を失わない。全頭型、汎発型でも細かい軟毛が生えてきた時は局所免疫療法を試すチャンスです。

男性型脱毛症

壮年性脱毛、若ハゲ、うす毛とも呼ばれます。男性の前頭部と頭頂部の頭髪が徐々にうすくなり、最終的に完全に消失します。細く短い毛が多くなります。 女性型脱毛症(女性の男性型脱毛症):頭頂部の広い範囲がうす毛となりますが、後頭部は正常です。男性と違って50-60歳代に多く男性ホルモンの影響ははっきりしていません。 休止期脱毛症:一時的に頭部全体の脱毛量が増える。女性に多い。出産、過度のダイエット、高熱などが原因となります。原因不明のことも。原因が排除されば改善することが多い。

当科における男性型脱毛症の治療

日本皮膚科学会診療ガイドラインに沿った標準的な治療を行っています。

外用薬(育毛剤):リアップ(1%,プラス,ジェット,×5,リジェンヌ)(ミノキシジル、大正製薬)(推奨度A)
医薬品ですが薬局で購入できます。アルコール基剤なので頭皮に痒みを生じることがあります。そのほかに毛髪力イノベート(ライオン)(推奨度C1)、アデノゲン(資生堂)(推奨度C1)など。
内服薬:フィナステリド(プロペシア1mg)(推奨度A)。デュタステリド(ザガーロ0.5mg)
対象:男性のみ。自費診療で、処方箋が必要です。性機能に関連した副作用を生じることがあります。
植毛術(推奨度B)
後頭から前頭へ毛包を移植します。毛包の分布を変えます。専門医療機関で外来手術を行います。自費診療です。当科では実施していません。
かつら
髪の量の少ない人のカモフラージュには非常に有効です。かつらをしても脱毛が悪化することはありません。形状・値段とも各種あります。

生活上の注意

禁煙、バランスのよい食事、適切なヘアケア

毛髪ビジネスに要注意

特にすぐれた発毛効果がないのに、過剰な料金を請求するグループがありますので気をつけてください。

リンク

The National Alopecia Areata Foundation (米国の患者組織、英語サイト)

円形脱毛症を考える会

大正製薬

MSD

大宮スキンクリニック

アイランドタワークリニック

東京義髪整形

皮膚科学分野について

皮膚科診療について

研究・業績