2023/10/04
医学科 研究活動

本学医学科第6学年 岡﨑倫和さんが、肉眼解剖学研究の成果に関する英文原著論文を筆頭著者として発表し、学長賞を受賞

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左から表原拓也先生、岡﨑倫和さん、伊藤正裕主任教授

 2023年7月19日に開催された医学科教授会において、林由起子学長より医学科6学年岡﨑倫和さんに「学長賞」が授与されました。この賞は、岡﨑さんが第2学年の解剖実習での「思わぬ発見」から取り組んできた肉眼解剖学研究の成果を原著論文として発表したことを称え、今後のさらなる研究者としての活躍を期待しての受賞となります。

 発表論文は「Two Types of Variational Artery's Course from the Superior Mesenteric Artery to Supply the Splenic Flexure : Gross Anatomical Study」というタイトルで国際誌 Diseases of the Colon & Rectumに掲載され、プレスリリースも配信されました。

プレスリリースはこちら>>(2023年7月27日)


「結腸脾弯曲部に向かう変異動脈の走行経路には 2パターンあることを初めて明らかに ~結腸脾弯曲部がんに対する膵損傷リスクの少ない 新しい血管処理方法の確立に期待~(医学科生が筆頭著者)」
<人体構造学分野 伊藤正裕主任教授、表原拓也客員研究員(順天堂大学 解剖学・生体構造科学講座准教授)、河田晋一助教、消化器・小児外科学分野 永川裕一主任教授、榎本正統准教授、医学科第6学年 岡崎倫和(筆頭著者)、諏訪赤十字病院 外科 天野隆皓 副部長(前・がん研有明病院 大腸外科)らの研究グループ>

教室主任コメント(人体構造学分野 伊藤正裕 主任教授)
 本論文はヒト横行結腸間膜内の血管走行の特徴に関する肉眼解剖学的観察およびそこから導き出される臨床解剖学的解釈を提示したものであり、同研究を始めるきっかけとなったのは第2学年での解剖実習での岡﨑さんの「注意深い観察による気づき」でした。
 岡﨑さんは、メス、ピンセット、定規、デジカメおよびパソコンのみで愚直に研究を進め、表原拓也講師(当時・現順天堂大学医学部准教授)とともに考察し、同研究で令和3年日本解剖学会学術集会にて優秀な若手解剖学者に贈られる肉眼解剖学トラベルアワード(献体協会賞)を受賞しました。岡﨑さんの観察眼・好奇心はこの受賞にとどまることなく、高学年になってからも、第2学年の解剖実習に参加しては後輩への実習指導と並行して己のデータ収集にさらに励み、永川裕一主任教授をはじめとした消化器外科の先生方のご指導も賜り、4年越しで論文としてまとめるにいたりました。「医学生とは医を学ぶに生きると書く。君たちは医を学ぶことに生きていればいい」と学生時代に恩師から教わりましたが、岡﨑さんはまさにそれを体現した求道者といえるでしょう。
 改めまして学長賞受賞おめでとうございます。心より敬意を表しますとともに、これからも医学研究に勤しみ、いつか本学を支える中心的存在になってもらいたいと願います。

受賞者コメント(学科第6学年 岡崎倫和さん)


 この度は学長賞を賜り、大変光栄に思っております。第2学年の解剖実習を通して、消化管の発生・形態に興味を持ち、人体構造学分野で研究に携わらせていただきました。構造の立体的な把握を心掛け、本研究では結腸脾弯曲部に分布する変異動脈の走行経路について、個人差を排して初めて可視化させるに至りました。

 丁寧にご指導してくださった表原拓也先生と伊藤正裕主任教授、並びに消化器外科の先生に心より感謝申し上げます。そして何よりも献体された方とご遺族の方にも感謝申し上げます。未熟者ではありますが今回の貴重な経験を活かし、探究心を持って物事を突き詰め具現化することを大切に、医療に貢献できるよう今後も精進してまいります。


【本学の学生の研究活動支援の取り組み】

  • 学長賞:医学部学生が在学中に筆頭著者として英文原著論文を発表・アクセプトされた場合、または優秀な業績・研究成果を発表した場合に授与されるもので、学長賞として表彰、賞状および副賞が授与されます。
  • 学生の研究活動支援:本学医学科では、希望する学生は研究室にて指導教員のもとで研究をすることができます。カリキュラムとしても、基礎医学の講義・ 実習と臨床医学が終了した第4学年で、「グループ別自主研究」のコースで、希望する研究テーマを選び、約3週間基礎医学の研究室に所属し、研究者の考え方や方法論などを体験し、研究マインドを育んでいます。また2022年4月からは自由科目として「リサーチ・ コース」が導入され(2023年度に自由な学び系科目に改称)、さらに学生の主体的な学びを後押しする体制になっています。


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