「東京医大の研究」特設サイト
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「患者に優しい医療(低侵襲医療)」の実現に向けた研究活動

「患者に優しい医療(低侵襲医療)」
実現に向けた研究活動

02 リキッドバイオプシーによる低侵襲性の診断法の開発 Research

Research

呼吸器・甲状腺外科学分野 早期肺がんにおける細胞外小胞由来の脈管浸潤関連遺伝子の同定

早期肺がんにおいて病理学的脈管浸潤は、術後再発に関与する重要な予後因子として知られています。一方がん細胞は、自己の情報を細胞外小胞と呼ばれる100nm程度の小さな粒子に搭載し、目的の遠隔地へ細胞を届けることによって、転移を促進させる環境を整備します。今回我々は、肺がん切除患者さんの血液について、脈管浸潤陽性の方と陰性の方に分類し、各群に特徴的な細胞外小胞中遺伝子を探索しました。その結果、脈管浸潤陽性患者さんの血液中ではmiR30d-5pという遺伝子発現が有意に低下していることを確認しました。特にこの遺伝子発現が著しく低下している患者さんの予後が不良であることから、肺がんにおける重要ながん抑制遺伝子の一つである可能性があります。

【分野HP】
東京医科大学 呼吸器・甲状腺外科学分野
【研究実績に関する主な論文】
2023年3月24日

産科婦人科学分野 婦人科癌のバイオマーカーとしての血清中マイクロRNAの活用

マイクロRNAは、直接タンパク質をコードしない20~25塩基長前後の短鎖RNAです。マイクロRNAは、標的遺伝子の3′非翻訳領域中の相補的配列に結合したり、直接メッセンジャーRNAに結合してその翻訳を抑制したりすることで、さまざまな生命現象を調節しています。マイクロRNAは血液中でも安定的に存在し、がんを含む様々な疾患においてその発現パターンが変化することが報告されており、診断や治療におけるバイオマーカーとしても有望視されています。私たちは婦人科癌の患者を対象に、分子生物学的手法を用いてマイクロRNAの発現解析およびその標的遺伝子の探索を行い、病態のメカニズムや相互関係を検討しています。また、安全で安定的な低侵襲性の診断法の開発にも取り組んでいます。

【分野HP】
東京医科大学 産科婦人科学分野
【研究実績に関する主な論文】
2023年2月 2021年12月

医学総合研究所
未来医療研究センター 分子細胞治療研究部門
がんや循環器疾患の早期発見のリキッドバイオプシー

血中をはじめとする体液中に細胞外小胞であるエクソソームが存在していますが、これらエクソソームは様々な細胞が分泌した「カクテル」です。その中から、がん細胞が分泌したエクソソームを捉えることで、がん診断が可能であると考えています。血液や尿の採取は低侵襲的に行えるため、苦痛の少ない診断法となります。エクソソームにはタンパク質やRNAが含まれており、それぞれがん細胞特異的な分子が存在していますので、何を「目印」にして、どのような方法で検出するかが、研究の重要なポイントになります。当研究室ではハイスループット性の高い、エクソソーム検出系を開発しました。この方法を用いて、膵臓がんや大腸がん患者さんの血清に多く含まれるエクソソームの検出に成功しています。また、エクソソームに存在するmicroRNAという小さなRNAを目印にして、動脈硬化に伴う脳梗塞、心筋梗塞などの循環器病をわずかな血液で早く見つける診断方法の確立にも取り組んでいます。

【部門HP】
東京医科大学 医学総合研究所
未来医療研究センター 分子細胞治療研究部門
【研究実績に関する主な論文】
2022年11月25日 2020年3月19日

眼科学分野 リキッドバイオプシーによる難治性眼疾患の診断

眼疾患の中には診断の遅れが視力の喪失のみならず、生命を脅かすこともあり、早期診断に役立つ何らかの指標、すなわちバイオマーカーの確立が望まれています。一方、眼疾患では対象となる臓器が解剖学的に精緻であるため、組織の直接的な採取による診断、すなわち生検は合併症のリスクが高いのが実情です。 そこで我々は患者さんの末梢血のほか、比較的低侵襲に採取可能な眼内液を用いて、ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームなど、遺伝子、タンパク質、代謝物を対象とした網羅的な解析(オミックス解析)を行い、得られたデータを人工知能によって解析し診断に結び付けていく、高精度なシステムの構築を世界に先駆けて実践しています。

【分野HP】
東京医科大学 眼科学分野
【研究実績に関する主な論文】
2022年6月22日 2021年1月21日

分子病理学分野 リキッドバイオプシーによるNon-coding RNAを用いた診断法の開発

直接腫瘍からの組織生検で確定診断を行う従来の診断法に対し、血液や尿などの体液中に存在する腫瘍由来の構成成分を検出することでがんの診断を可能にする検査手法をリキッドバイオプシー(LB)と呼んでいます。LBの最大の利点は、採取が簡便で患者さんに対して低侵襲であることです。我々は、世界に先駆けてnon-coding RNAの一つであるmiRNAが血液中に存在し、がんのバイオマーカーとしてLBに臨床応用できることを明らかにしました。さらに現在では、次世代シーケンサー(NGS)による網羅的核酸解析技術を応用し、腫瘍由来のDNAのsignatureの検出を行うTMU Decision®を開発し、臨床応用を目指しています。

【分野HP】
東京医科大学 分子病理学分野
【研究実績に関する主な論文】
2022年6月 2020年12月

細胞生理学分野 リキッドバイオプシーによる血管病変の早期診断

血管病変の末期像として大動脈瘤や動脈硬化による心筋梗塞などが知られています。これら血管の疾患は進行途中での自覚症状はなく、大動脈瘤の破裂や臓器の虚血といった高度に進行した時期まで気が付かれず生命予後を左右することが多くあります。我々は、動脈特異的に発現するミオシン重鎖サブタイプであるmyosin-11が、健常者にくらべて大動脈瘤や動脈硬化の方の血中により多く存在することを明らかにしました。現在myosin-11の検出方法の精度向上の検討と、病期による血中myosin-11の増加パターンを検討することで、血管病変を早期に検出して疾患の進行を予防できるように研究を進めています。

【分野HP】
東京医科大学 細胞生理学分野
【研究実績に関する主な論文】
2021年7月16日 2018年7月13日オンライン

呼吸器・甲状腺外科学分野 肺癌におけるリキッドバイオプシーの有用性と限界

進行した肺癌ではEGFR遺伝子をはじめとした様々な遺伝子検査を行うことが必須となっています。しかし、生検が困難な症例も多いため、容易に採取可能な血液を用いて調べるリキッドバイオプシーが期待されます。当院で手術を行った150症例を対象として血液と摘出腫瘍検体を用いて次世代シークエンサーで遺伝子検査を行い、cfDNA(血液中の循環腫瘍由来DNA)中の体細胞変異検出率は低く、腫瘍体積が血清中の体細胞変異検出の規定因子になると考えられることを見出しました(Cancer Sci. 2021 Jan;112(1):388-396)。その後、第一世代または第二世代EGFR-TKI治療に対する感受性と関連するEGFR遺伝子変異と耐性遺伝子であるT790M遺伝子変異を血液で調べた結果、4クール治療後に測定したEGFR遺伝子変異を調べることによって治療効果を予測することが可能であることを見出しました。

【分野HP】
東京医科大学 呼吸器・甲状腺外科学分野
【研究実績に関する主な論文】
2021年1月