「東京医大の研究」特設サイト
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「患者に優しい医療(低侵襲医療)」の実現に向けた研究活動

「患者に優しい医療(低侵襲医療)」
実現に向けた研究活動

12 その他の新規治療法・診断法の開発 Research

Research

消化器内科学分野 不可逆電気穿孔法( Irreversible Electroporation:IRE)の肝癌への治療応用

肝がんの穿刺局所治療として、ラジオ波焼灼療法(RFA)やマイクロ波焼灼療法(MWA)が本邦において広く行われていますが、これらは熱の力によりがん組織を熱凝固し壊死に導く治療法です。しかし血管近傍のがんは血流による冷却効果(heat sink効果)によりがんの治療が不十分になることがあります。そこで、我々は肝細胞がんの治療に、不可逆電気穿孔法治療(IRE)を用いる研究を進めています。これは、熱の力でなく電気バルスによりがんの細胞膜にナノサイズの穴を生じさせ組織をアポトーシスに導く治療法であり、血管や胆管に隣接するがんに対しても、安全かつ効果的な治療が可能です。現在本治療法は、先進医療Bとして行っております。

【関連HP】
東京医科大学病院 プレスリリース
「ナノナイフ(IRE)による肝がん治療、先進医療制度承認へ」
【研究実績に関する主な論文】
2023年1月

形成外科学分野 酸素ナノバブル水を用いた創傷治療による虚血性創傷の治癒促進

近年、末梢動脈疾患に起因する下肢の虚血性潰瘍に患者が増加し、その治癒に難渋しています。
これらの症例で、創治癒が行われないと、下肢の大切断に繋がり、患者のQOLは大きく低下し、医療経済的にも大きな負担となります。これまでは、創部の中枢の血管をカテーテルや手術で広げる治療をしていましたが、それらの治療が難しい症例も多く存在します。今回、そのような虚血性潰瘍の動物モデルで、酸素ナノバブルを含浸させた創傷被覆材で治療することで、創傷治癒率、創傷治癒日数に有意な改善がみられ、今後の臨床応用が期待されます。

【分野HP】
東京医科大学 形成外科学分野
【研究実績に関する主な論文】
2022年11月

消化器外科学分野(茨城医療センター) 患者に優しい手術合併症軽減への取り組み

患者に優しい低侵襲外科治療は、腹腔鏡下手術やロボット手術のような痛みや出血軽減以外に手術における合併症をいかに減少させて体への負担を減らすかも重要な要素です。当分野では手術における合併症軽減に向けた周術期における因子解析を行い、術前からのその指標づくり、因子解析を研究し、周術期合併症軽減につなげる指標、因子を研究しています。現在は、合併症軽減を目指して、各癌腫における尿中タイチンとサルコペニア、周術期栄養指標との関係、術後の炎症性メディエーターと合併症との関係、術前手術シュミレーションによる手術侵襲の軽減を研究しています。

【分野HP】
東京医科大学 消化器外科学分野
(東京医科大学茨城医療センター 消化器外科)
【研究実績に関する主な論文】
2022年10月 2021年6月

消化器内科学分野 切除不能膵癌に対する強力集束超音波(HIFU)治療開発

膵がんは近年増加しており、これまで早期診断に務めているものの切除不能膵がんが60%前後を占めているのが現状です。切除不能の膵がんに対して化学療法あるいは化学放射線療法が行われますが、満足しうる成績が得られていないのが現状の難治がんです。
そこで我々は、切除不能膵がんに対する治療効果と症状を改善することを目的に、強力集束超音波HIFU (ハイフ) 療法を開発しました。HIFU療法は超音波を用いて行う治療法で、放射線被曝がなく、針や麻酔なども必要としない低侵襲の治療法で、安全かつ苦痛なく短時間に施行可能です。これまで自由診療でHIFU治療を行っていましたが、この度、切除不能膵がん患者を対象としたHIFU治療の国内治験を開始致しました。詳細については、右記関連HPをご参照ください。

生化学分野 リソソームを標的とした新たながん治療戦略

リソソームは老廃物を処理するだけの細胞内小器官と考えられていましたが、それに加え、細胞内の栄養状態を感知し、代謝を切り替える小器官として、細胞恒常性の維持に重要な役割を担っていることが明らかになってきました。がん細胞は、生存に適さない低酸素・低栄養状態においても無秩序に増殖し、浸潤・転移を起こしますが、そのエネルギー確保のために、正常細胞と比較してリソソームが過剰に発達し、リソソームへの依存度が高い場合が多く認められます。がん細胞の特徴を標的とし、正常細胞への影響を最小限に抑えることで、薬物療法の副作用低減に繋がる可能性があり、当分野では既存薬のリポジショニング(別疾患への転用)を試みることで、迅速な臨床応用を目指して研究を進めています。

【センターHP】
東京医科大学 分子標的探索センター
【研究実績に関する主な論文】
2022年2月 2021年8月

腎臓内科学分野 インプラント人工腎臓を用いたハイブリッド腎代替療法の研究開発

ナノテクノロジーを用いた超小型人工腎臓を開発した慶應義塾大学理工学部の三木則尚教授とともに将来の臨床応用を目指して研究を続けています。現在週3回通院して行っている血液透析療法の代わりに身体の中に人工腎臓を植え込むことで、通院治療による時間拘束や毎回の血管穿刺などのストレスを軽減できると期待しています。スタッフが少ないために多くの方の力をお借りして動物実験を進めていますが、これまでヒトの循環器系に植え込まれた人工臓器は心臓以外にないので、臨床応用までには多くの課題を解決する必要があり、引き続き研究を進めています。

【分野HP】
東京医科大学 腎臓内科学分野
【研究実績に関する主な論文】
2021年8月20日 2012年

細胞生理学分野 先天性心疾患の病態機序の解明と新規治療法の開発

先天性心疾患は約1%に発症しますが、この中でも動脈管開存症は500人に1人との頻度の高い疾患です。また、近年増加傾向にある未熟児では動脈管開存症の割合は30%を超えます。動脈管は胎児期には生命の維持に必須ですが、出生直後から閉鎖に向かうことで出生後の環境に適応してゆきます。動脈管開存症ではこの閉鎖機構が障害され、重篤な合併症を引き起こし生命予後を左右します。我々はPTGER4分子に着目し、ヒアルロン酸やFibulin1といった細胞外基質やリシルオキシダーゼによる弾性線維の架橋の制御が動脈管の閉鎖に重要であることを示し、PTGER4分子制御による動脈管開存症の新規治療法を開発しています。

【分野HP】
東京医科大学 細胞生理学分野
【研究実績に関する主な論文】
2021年7月31日オンライン 2020年7月9日

小児科・思春期科学分野 「子どもに優しい遺伝子検査」としての網羅的遺伝子解析

1つの遺伝子における異常が原因となる単一遺伝子疾患は、6,000個以上が知られています。しかし、これらを臨床の現場で的確に診断することは容易ではありません。なぜなら、症状が必ずしも特徴的ではないもの、複数の病気で似たような経過を取りうるもの、一般に利用可能な検査では鑑別しきれないものなどが含まれるためです。
そのような中、ゲノム解析手法の進歩によって、原因と推測される遺伝子を網羅的に解析することが可能となりました。当分野では少量の血液から原因と推測される遺伝子全てを同時に検査できる「エクソーム解析」を用いた遺伝子診断を研究しています。度重なる検査や治療の遅れによる子どもたちの心身への負担軽減にもつながりうる有用な診断手法と位置づけて臨床診断に結びつけるべく研究を進めています。

【分野HP】
東京医科大学 小児科・思春期科学分野
【研究実績に関する主な論文】
2020年11月30日 2019年11月12日