「東京医大の研究」特設サイト
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「患者に優しい医療(低侵襲医療)」の実現に向けた研究活動

「患者に優しい医療(低侵襲医療)」
実現に向けた研究活動

05 患者に優しい再生治療の開発 Research

Research

口腔外科学分野 歯髄幹細胞を用いた骨再生法の開発

顎顔面領域における骨喪失性疾患として、慢性歯周炎による歯槽骨欠損、唇顎口蓋裂等の先天性疾患、腫瘍による顎骨欠損、外傷などが挙げられます。そのような病態の患者さんの機能的および整容的な障害による精神的苦痛は計り知れません。現在は自家骨や人工材料を用いた治療が行われていますが、採骨部の外科的侵襲や治療成績など多くの課題が残されています。これらの顎骨欠損に対して、当分野では患者さん自身の抜去歯から採取可能な歯髄(歯の神経)幹細胞を利用した自分の細胞を用いた顎骨再生法の確立を目指しています。これまでに、生理活性物質を用いてヒト歯髄幹細胞の高効率な骨芽細胞分化誘導や骨再生法の開発に取り組んでおり、安全で安定的な自分の細胞由来の顎骨再生医療の実現に向けて研究を行っています。

【分野HP】
東京医科大学 口腔外科学分野
【研究実績に関する主な論文】
2022年10月3日 2020年12月1日

医学総合研究所 分子細胞治療研究部門 肝臓のステム細胞を用いた新規再生医療の開発

2017年に世界で初めて、肝臓の細胞を若返らせることに成功しました。その後、AMEDの研究支援を受けながら、NASHや肝硬変などの高齢の肝臓疾患の患者さんの肝臓から分離した細胞を、正常な肝臓のステム細胞に分化させることにも成功し、そのステム細胞を移植することで、肝障害を治療する動物実験にも成功しました。さらにこの肝臓のステム細胞からは、NASHや線維化を抑え込むマイクロRNAを搭載した細胞外小胞(エクソソーム)が分泌されることから、この特殊な細胞のエクソソームを用いた治療開発も本学で研究開発されています。
近い将来、このような新しい肝臓のステム細胞治療やエクソソーム治療で、肝臓の疾患が治癒したり、肝臓癌を予防できたりする優しい治療法が開発される可能性があります。

【関連HP】
【お知らせ】落谷孝広教授らが推進する「肝臓のステム細胞」の
研究成果に関するインタビュー記事が、Nature誌に掲載
【研究実績に関する主な論文】
2022年3月16日 2021年6月7日

細胞生理学分野 周期的加圧培養による子供に優しい人工血管の開発

我々は臍帯(へその緒)から採取した細胞を用いて人工血管を開発しています。先天性心疾患を抱えている数多くの子供が人工血管を必要としています。しかしながら、現行の人工血管は材質の問題により再手術を必要とする場合が多く、患児の生活の質を著しく低下させます。我々の特許技術である「周期的加圧培養法」により作製した人工血管は、人工素材や添加物なしに細胞由来成分のみから構築されており、実験結果より再手術を必要としない人工血管として期待されます。現在安定して人工血管を供給できるよう、品質管理や供給方法の研究を進めています。

【分野HP】
東京医科大学 細胞生理学分野
【研究実績に関する主な論文】
2021年2月4日 2017年3月10日