「東京医大の研究」特設サイト
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「患者に優しい医療(低侵襲医療)」の実現に向けた研究活動

「患者に優しい医療(低侵襲医療)」
実現に向けた研究活動

11 その他の新規治療法・診断法の開発 Research

Research

健康増進スポーツ医学分野 非侵襲的手法を用いた筋代謝および褐色脂肪組織の評価法の開発と
生活習慣病予防の試み

日本を含む多くの国では、食事の過剰摂取や座位姿勢保持などの不活動時間が増えることにより、エネルギー過多となり、生活習慣病の急拡大が問題となっています。そこで、当分野では、非侵襲的手法を用いた筋代謝や褐色脂肪組織の評価法を開発し、個々人に適したエネルギー消費増加策を処方しています。これまで当分野が実施した研究では、一過性の座位姿勢保持が生体に及ぼす悪影響や、短期的および長期的な運動実施に伴う生体の変化、ヒト成人および子どもの褐色脂肪組織の定量とその増強法を見出してきました。今後さらに研究を推し進め、最終的に、生活習慣病の予防を介した個々人に見合った健康寿命延伸策を提案したいと考えています。

【分野HP】
東京医科大学 健康増進スポーツ医学分野
【研究実績に関する主な論文】
2022年3月1日 2020年9月2日

消化器内科学分野 切除不能膵癌に対する強力集束超音波(HIFU)治療開発

膵がんは近年増加しているがんのひとつであり、本邦におけるがんの死因4位の疾病です。これまでさまざまな診断法を駆使し、早期診断に務めているものの切除不能膵がんがいまだ60%前後を占めているのが現状です。さらに切除不能の膵がんに対しては原則的に、化学療法あるいは化学放射線療法が行われておりますが、満足しうる成績が得られているとはいえないのが現状です。
そこで、切除不能の膵がんに対して治療効果を得ることと症状を改善することを目的に、我々は、強力集束超音波HIFU ( High intensity focused ultrasound:ハイフ) 療法を開発しました。HIFU療法は、超音波を用いて行う治療法で、放射線被曝がなく、針や麻酔なども必要としない低侵襲の治療法で、安全かつ苦痛なく短時間に施行可能です。現在は、自由診療で行っており、今後、保険承認を目指して、来年度に治験を予定しています。

形成外科学分野 生着率を向上させる新しい脂肪移植法の開発

脂肪移植は、臍周囲や大腿周囲から脂肪組織を採取して、それを細切して、組織の足りなくなった部位へ注入する治療法です。これにより形態や質感の改善が期待できる非常に低侵襲な治療法です。しかしながら、現状の脂肪移植方法では、安定した高い生着率を得ることはできません。このため、我々は、安定的に高い生着率を得られる脂肪移植の新しい方法を研究しています。これまで、少量のコラーゲンを脂肪組織と同時に移植することで生着の向上、新生血管形成およびマクロファージ活性を促進することがわかってきました。これは、すぐにも臨床現場に応用できる方法です。今後は、ドラッグデリバリーシステムも用いることで、さらなる成績向上を目指します。

【分野HP】
東京医科大学 形成外科学分野
【研究実績に関する主な論文】
2021年10月

腎臓内科学分野 インプラント人工腎臓を用いたハイブリッド腎代替療法の研究開発

ナノテクノロジーを用いた超小型人工腎臓を開発した慶應義塾大学理工学部の三木則尚教授とともに将来の臨床応用を目指して研究を続けています。現在週3回通院して行っている血液透析療法の代わりに身体の中に人工腎臓を植え込むことで、通院治療による時間拘束や毎回の血管穿刺などのストレスを軽減できると期待しています。スタッフが少ないために多くの方の力をお借りして動物実験を進めていますが、これまでヒトの循環器系に植え込まれた人工臓器は心臓以外にないので、臨床応用までには多くの課題を解決する必要があり、引き続き研究を進めています。

【分野HP】
東京医科大学 腎臓内科学分野
【研究実績に関する主な論文】
2021年8月20日 2012年

細胞生理学分野 先天性心疾患の病態機序の解明と新規治療法の開発

先天性心疾患は約1%に発症しますが、この中でも動脈管開存症は500人に1人との頻度の高い疾患です。また、近年増加傾向にある未熟児では動脈管開存症の割合は30%を超えます。動脈管は胎児期には生命の維持に必須ですが、出生直後から閉鎖に向かうことで出生後の環境に適応してゆきます。動脈管開存症ではこの閉鎖機構が障害され、重篤な合併症を引き起こし生命予後を左右します。我々はPTGER4分子に着目し、ヒアルロン酸やFibulin1といった細胞外基質やリシルオキシダーゼによる弾性線維の架橋の制御が動脈管の閉鎖に重要であることを示し、PTGER4分子制御による動脈管開存症の新規治療法を開発しています。

【分野HP】
東京医科大学 細胞生理学分野
【研究実績に関する主な論文】
2021年7月31日オンライン 2020年7月9日

消化器外科学分野(茨城医療センター) 患者に優しい手術合併症軽減への取り組み

患者に優しい低侵襲外科治療は、腹腔鏡下手術やロボット手術のような痛みや出血軽減以外に手術における合併症をいかに減少させて体への負担を減らすかも重要な要素です。当分野では手術における合併症軽減に向けた周術期における因子解析を行い、術前からのその指標づくり、因子解析を研究し、周術期合併症軽減につなげる指標、因子を研究しています。現在は、合併症軽減を目指して、各癌腫における尿中タイチンとサルコペニア、栄養指標との関係、周術期栄養指標の問題点の検討、術後の炎症性メディエーターと合併症との関係を中心に研究しています。

【分野HP】
東京医科大学 消化器外科学分野
(東京医科大学茨城医療センター 消化器外科)
【研究実績に関する主な論文】
2021年6月 2020年6月

精神医学分野 食事・睡眠などの生活習慣がストレスに及ぼす影響に関する研究

食事や睡眠などの生活習慣が日常のストレスに与える影響を研究し、メンタルヘルス改善のための根拠に基づいた生活指導の確立を目指しています。これらの研究成果の応用が職場や学校、家庭における精神疾患と生産性低下の予防につながり、さらに診療における薬物療法だけに頼らない精神疾患治療の確立に寄与することが期待されます。これまでの当分野の研究では、規則的な食事習慣、寝酒しないこと、野菜を摂ること、睡眠を十分にとることが、ストレスを軽減することに役立つことが明らかになっています。今後、さらに前方視的な観察研究および介入研究によりこれらのエビデンスを確かめていく予定です。以上の試みにより、患者および国民に優しいストレス対処法の確立を目指しています。

【関連HP】
東京医科大学 精神医学分野
産業精神医学支援プロジェクト
【研究実績に関する主な論文】
2021年2月 2020年6月

小児科・思春期科学分野 「子どもに優しい遺伝子検査」としての網羅的遺伝子解析

1つの遺伝子における異常が原因となる単一遺伝子疾患は、6,000個以上が知られています。しかし、これらを臨床の現場で的確に診断することは容易ではありません。なぜなら、症状が必ずしも特徴的ではないもの、複数の病気で似たような経過を取りうるもの、一般に利用可能な検査では鑑別しきれないものなどが含まれるためです。
そのような中、ゲノム解析手法の進歩によって、原因と推測される遺伝子を網羅的に解析することが可能となりました。当分野では少量の血液から原因と推測される遺伝子全てを同時に検査できる「エクソーム解析」を用いた遺伝子診断を研究しています。度重なる検査や治療の遅れによる子どもたちの心身への負担軽減にもつながりうる有用な診断手法と位置づけて臨床診断に結びつけるべく研究を進めています。

【分野HP】
東京医科大学 小児科・思春期科学分野
【研究実績に関する主な論文】
2020年11月30日 2019年11月12日

形成外科学分野 瘢痕(傷痕)に対する新たな治療戦略

瘢痕(傷跡)は、手術患者さん、怪我・やけどを負った患者さんにとっては、大きな問題です。これらの傷跡の治療には、外科的に切除する治療もありますが、薬剤による治療で傷跡が目立つようになることを予防したり、目立つ傷跡を目立たない様に治療したりすることができます。一般的にはホルモン剤(ステロイド薬)を用いますが、それ以外に、各種の薬剤での治療が研究されています。この中には、抗炎症薬や糖尿病に用いられる薬剤(DPP-4阻害薬)の有効性が当分野の研究で明らかになっています。
また、患者視線で傷跡を評価するスケールの日本語化をすでに行っており、傷跡の改善の評価に用いて、研究を進めています。

【分野HP】
東京医科大学 形成外科学分野
【研究実績に関する主な論文】
2020年7月

細胞生理学分野 大動脈瘤の病態機序の解明と新規治療法の開発

大動脈瘤は自覚症状がないままに進行して突然破裂して死に至ることのある、進行性の致死性疾患です。高血圧やメタボリックシンドロームなどが背景因子として知られていることから、現在疾患の進行を抑制するために降圧剤や脂質降下薬が用いられています。しかしながら、効果は十分ではなく、大動脈の拡大を直接的に抑制できる治療薬は開発されていません。我々は炎症に関与するホルモンであるプロスタグランディンEに着目し、その受容体であるEP4が大動脈瘤組織で過剰に発現することで慢性炎症を惹起して、大動脈瘤を進行させることを明らかにしました。現在EP4受容体シグナルを標的として、大動脈瘤の進行を抑制する治療薬の開発を進めています。

【分野HP】
東京医科大学 細胞生理学分野
【研究実績に関する主な論文】
2020年4月23日 2018年9月19日

消化器内科学分野 不可逆電気穿孔法( Irreversible Electroporation:IRE)の肝癌への治療応用

肝がんの穿刺局所治療として、ラジオ波焼灼療法(RFA)やマイクロ波焼灼療法(MWA)が本邦において広く行われていますが、これらは熱の力によりがん組織を熱凝固し壊死に導く治療法です。しかし血管近傍のがんは血流による冷却効果(heat sink効果)によりがんの治療が不十分になることがあります。そこで、我々は肝細胞がんの治療に、不可逆電気穿孔法治療(IRE)を用いる研究を進めています。これは、熱の力でなく電気バルスによりがんの細胞膜にナノサイズの穴を生じさせ組織をアポトーシスに導く治療法であり、血管や胆管に隣接するがんに対しても、安全かつ効果的な治療が可能です。現在本治療法は、先進医療Bとして行っております。

【関連HP】
東京医科大学病院 プレスリリース
「ナノナイフ(IRE)による肝がん治療、先進医療制度承認へ」
【研究実績に関する主な論文】
2019年1月 2015年7月